■旅日誌
[2012/4] Asian City - Kuala Lumpur & Singapore
(記:2012/8/5 改:2021/7/4)
写真をみる
とりあえず何かから逃れたい一心で旅立つことにしました。ただ、2、3日前になってようやく飛行機とホテルの予約を入れてるような状態だったので、どう過ごすか?など、まったく考えていません。強いていうなら、シンガポール航空のA380のビジネスクラスに乗るぞ!という点だけははっきりしていましたが、勢いだけで申し込んだにしては高い買い物だったかもしれません。LCCなら10~20往復はできそうな値段には目をつぶることにします。というわけで、目的地はクアラルンプールとシンガポールです。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
 0日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
成田空港、SQ11、チャンギ国際空港
曜日の並びに恵まれたこともあり、今年のGWは9連休となった。久しぶりに仕事からも開放され、まとまった休みが見えてきたところまではよかったが、ご近所で"きな臭い"プロジェクトが見え隠れしており、もうチケット買っちゃいました!といい訳するためにもどこか遠くへ、、、できれば海外脱出を企んでいた。とはいうものの、本当に踏ん切りが付いたのがGW突入2、3日前、何のことはない、これじゃぁいつもと変わらない。(とほほ…)そこからスケジュールを組むにしても明らかに準備不足だし、まぁ、じたばたしてもしょうがない。で、ここは一旦いまの状況を受け止め、冷静になって決めたのがなぜかシンガポールだった。どうすればそういう理屈が成り立つのか相変わらず滅茶苦茶ではあるが、あえていうならシンガポール航空A380がデビューしたときからずっと、いつかはこいつに乗るぞ!という気持ちがあって、今回たまたま思いついた…というのが正しいかもしれない。そうはいっても予約できなければ話にならず、そんな切羽詰った状態で空席照会してみると、日程をうまく合わせれば若干の余裕があることが判明!そもそもA380ビジネスクラスに早割なんてないんだし、だったらこれでいいじゃん!とさらに論理の飛躍は続く。何の疑いもなくビジネスクラスしか調べてない自分もどうかと思うが、この際コストのことは目をつぶる。潔いといえば聞こえはいいが、急転直下、無駄に大枚叩いてシンガポール行きを決断した。(余談:別のところでA380に乗ったときの旅日誌はこちらをご覧ください。KETGEKOZCZEYQRMH
シンガポール航空A380
前置きが長くなってしまったが、そんなわけで今回は、往復ともシンガポール航空A380ビジネスクラスで手を打つ。(苦笑)ところで、シンガポール成田-ロサンゼルスと一体運用となってから機材の振り回しが変わり、SQ11便(NRT→SIN)は夜に成田を出発して、早朝3時前にシンガポールへ到着するというダイヤが組まれている。そんな時間に着いてもどうする?というところからちょっとひとひねりを入れて、6時のシルクエアーKLシャトル便を利用してマレーシアへ乗り継ぐことにしてみた。こいつなら7時にクアラルンプール(KL)へ到着するので、丸1日、効率よく使うことができる。実はクアラルンプールには多少思うところがあり、というのもインドに出張したときに経由したのがクアラルンプールで、あのときは仕事オンリーで、日程だけじゃなく体力的にも精神的にもきつい時期だったので立ち寄る余裕もなく、どこかやり残したような気持ちを引きずっていた。もう随分と時間も経ったし、自分の意思でひょいひょい海外へ出るようになるなんて思ってもみなかったので、この際、KLに対する認識をあらたにするにはいい機会と思ったわけである。
シンガポール航空・SQ11便・シンガポール行き
出発の日、武蔵小杉駅から成田エクスプレスに乗り込み成田空港へ向かう。ここのところすっかり定番ルートとなってしまったが、いつもと勝手が違うのは夜の便なので、あまり時間を気にせずにいたことだろうか。朝、あわてて起きる必要もなく、午前中だらだらと荷物をまとめたりして、家を出たのは14時を少しまわってのことだった。そんなわけで、NEXの車内で腰を落ち着けた頃になって、ようやく旅気分になってきた。シンガポール航空はスターアライアンス・メンバーなので第一ターミナルにチェックインカウンターがある。そうそう、C席シンガポール往復ならそれなりにマイルが付くので、青組マイレージにチャージするのは忘れないようにしよう…。とりあえずチェックインはさっさと済ませ、荷物を預けて身軽になっておく。ゆっくり目の始動ではあったが出発までかなり時間があり、建物の外へ出て行きかう飛行機を眺めたりしていると、ちょうどシンガポール航空A380が到着するところだった。さてと、日も傾いてきたので、イミグレを通ってラウンジへ向かうことにしよう。そういえば、FLY!パンダ杭州へ出張したときなぜかビジネスにアップグレードされ、よく分からずユナイテッドのラウンジに入ったことがあったが、今日は搭乗ゲートに近いANAラウンジに行ってみるか…。飛行機に乗る前から気合を入れても仕方ないが、まずは生ビール(!)そしてうどんをかきこみながらPCを開いて現地の予習をしておく。何となく気分もよくなってきたところで突然、緊急地震速報が鳴り響く。すぐさま強い揺れを感じたが、これから出発だというのに、あまり気分のいいものではない。
シンガポール航空SQ11便の機内の様子
 1日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
チャンギ国際空港、MI320、クアラルンプール国際空港、KLCC、マスジット・ジャメ、KLタワー
出発時刻が近づきラウンジを後にする。ちょっと食べ過ぎたか、いやぁ~こんなもんだろう…と自分に言い聞かせ、サテライト一番奥にあるA380専用搭乗ゲートへ向かう。建物の外に目を向けると、暗くなってよく分からないがシンガポール便、ロス便の2機のA380の姿が見えた。こうしてあらためて眺めてみると、その大きさに圧倒される。いやぁ、でかいなぁ…。優先搭乗に引続き上級クラスの搭乗案内が入る。長蛇の列を横目にちょっとした優越感にひたるのも悪くない。これから7時間、身を置くビジネスクラス2階席にある。内装はブラウン系のシックな色合いにまとめられ、座席の配置は1-2-1なので、すべてが通路と直結しているつくりだ。他のエアラインでは2-2-2か1-2-1でも窓側を前後に互い違いに配置するのが通常だが、単純に横4列なので座席の幅は半端なく広い。決して大げさではなく、大人2人がすっぽり収まりそうだ。座ってみると視線の横がさえぎられる感じがして、区切られた空間にいるような落ち着いた印象を受ける。もちろん、シートはフルフラットにできるので、深夜の長時間フライトでもまったく苦にならない。これでもファーストクラスじゃないなんて、どういうこと??ウエルカムドリンクのシャンパンをいただきながら、手元の装置類(?)の使い方なんぞ探ってるうちに出発時間となった。
SQ11便の機内食
大韓航空でも1度体験していたのでA380の快適さは分かってたつもりだったが、やはり何度乗ってもいいものはいいと感じる。外のエンジン音はまったく聞こえず静かなもので、エアボーンの瞬間、ふーーっと浮き上がる感じは他の飛行機とは違う独特のものがある。エンターテイメントメニューに目を通すと、うわさに聞いてた通り日本語のソフト類も充実している。睡眠時間を差引いても映画1本は見ることができそうだ。しばらくして食事の提供が始まる。もちろんここはインターナショナルメニューを選択、和食メニューも海外のエアラインらしからぬかなり本格的なものだったが、シンガポール航空のレベルの高さを実感する。スターターSQ便定番のサテー、マレー料理の焼き鳥と表現されることがあるが、日本のとは違いピーナッツベースのちょっとスパーシーな甘辛ソースが添えられており、これが食べたいがために上級クラスを選択する人もいるとか、いないとか…。(独り言:今日の自分もそれに近いかも?)MH便でも味わったサテーを思い出す。その後もコース形式食事が提供されるのだが、どれをとってもトレーに載って出てくるものとはわけが違う。飲み物もビールは最初の一杯だけにしておいて、メインディッシュの前にワインに切り替える。普段からそう飲み慣れてるわけでもなく銘柄は?といわれても適当に選ぶしかないのだが、そんじょそこらのテーブルワインと違うのだけは分かった。デザートのケーキに続きフルーツはトレーから好きなものを選ばせてくれたりと、穏やかな時間が過ぎていく。日本のエアラインではあまり見かけない男性CAの応対振りはまるでホテルマンのようだし、民族衣装風のユニホーム姿の女性CAの立ち居振る舞いはエレガントでありながらとても自然で、一流のサービスとはこういうものかな?と、まぁここは無難な感想でまとめておくことにしておこう。
SQ11便の機内の様子
SQ11便はほぼ定刻でシンガポール・チャンギ国際空港へ到着した。優雅に食事して、映画を見て、そしてひと眠りと、そりゃぁ7時間なんてあっという間だった。名残惜しいがこれで往路のA380とはお別れとなる。オンタイムの到着なので、いまは現地時間で午前3時をまわったところ、深夜のチャンギ国際空港はだだっ広いだけでとてもひっそりとしていた。当初の目論見どおり、次の乗り継ぎまではラウンジで過ごすことにする。チャンギ空港シルバークリスラウンジと言えば、世界でも屈指のラウンジとして名が通っており、今回はビジネスクラスの特権でもあるので遠慮なく(?)利用させてもらうことにした。降機後、結構な"散歩"ののちラウンジへ到着、もちろん24時間体制で、青ぼんやりとした受付で笑顔の出迎えを受ける。ラウンジ内にはほとんど人の姿はなく、広大なフロアは静まり返っていた。まずはシャワールームへ直行し、どよ~んとしかけた意識をしゃきっとさせる。ラウンジではミール類もドリンク類も豊富に準備されているのだが、さすがにこの状況では体も受け付けようとはしない。PCを取り出してメールをチェックしたり、成田の続きで次のマレーシアの予習をしてるうちにそれとなく時間は経っていった。
シルクエアー・MI320便・クアラルンプール行き
次に乗り継ぐシルクエアーはシンガポール航空の子会社で、ここチャンギをハブ空港に比較的近いエリアをカバーしている。最近流行の(?)LCCと競合するような気がするのだが、どういう住み分けになっているのだろう?一番近い場所を行くスカイトレインはまだ走ってない時間なので、多少遠回りしてターミナル1を経由しターミナル2へと向かう。指定された搭乗口のゲートは既に開いておりセキュリティチェックを受け、しばらく待合室の中で待つことにした。シャトル便という言い方で合ってるのか分からないけど、MI320便は、シンガポール航空マレーシア航空とのコードシェア便なのだが、航空券にも空港内の表示にもSQ便の表記はない。そのシルクエアーの機材はA319で、日本ではみることのない小さな機種である。SQ11便から通しの乗り継ぎなので、こちらもビジネスクラスを予約してあった。ここチャンギからクアラルンプールまでの飛行時間は約1時間ほど、距離にして東京-名古屋と同じくらいだろうか?ビジネスクラスといっても、狭い機内の前側に8席ばかり、おしるし程度にある座席は某社のクラスJより貧相に見える。結局C席フロアを貸しきったまま、居心地がいいような悪いような微妙な雰囲気で過ごすことになった。A380と比較することに意味があるとは思えないが、小さい機材なのでどこか精一杯飛んでる"必死さ"のようなものを感じる。水平飛行してるわずかな時間を使ってミールが提供され、夜も明けぬうちにMI320便クアラルンプールへと到着した。
ペトロナスツインタワー
インド出張以来となるクアラルンプールには、若干懐かしさを感じた。南国の雰囲気漂う建物を抜け、入国手続きを済ませる。両替は最低限だけにしておいて、まずは市内へと向かうことにしよう。クアラルンプールの中心部までは、KLIAエクスプレスを利用するのが一番手っ取り早い方法で、15分に1本と本数も多い。最高時速は160キロ、東南アジア最速の特急という触れ込みだ。券売機で切符を購入、早速KLIAエクスプレスに乗り込む。空港の敷地の脇を通り、夜が明けるつれ、やがて外の様子が見えてくる。生い茂った緑の木々はゴム畑のプランテーションだろうか?徐々に開けてくると人工的な建造物が目に付くようになる。異国情緒を感じさせる建物に混じって近代的な建造物があったりと、めまぐるしく発展している様子が垣間見える。やがて遠くにペトロナスツインタワーとKLタワーのシルエットが見えてきた。列車は30分程でKLセントラルへ到着、何だか随分とあっけなかったなぁ~。ここKLセントラル駅は日本でいうと東京駅のようなターミナル駅にあたり多くの路線が乗り入れてる。交通の要所なのでバスやタクシーにも乗り継げるのだが、規模はそんなに大きくもなく工事中の横浜駅といったとこだろうか。あらためて時計を見ると午前7時、朝の通勤ラッシュが始まるところだった。荷物が邪魔なので預ける場所を探していたところ、コインロッカーの前にいたおじさんがすっと寄ってきて、10リンギット!というのでそのまま渡すとカギをかけて渡してくれた。
ペトロナスツインタワー
とりあえずここでじっとしてても仕方ないのでRapidKLに乗って移動することにした。行き先を確認し、自販機で切符(トークン)を購入する。別に寝ぼけてたせいではないが、方向感覚がつかめず適当に乗った列車は、自分が意図する方向とは逆に進んでいた。特に急いでるわけでもなかったし、2、3駅行ったところで戻ることにする。頻繁にやってくるLRTは2両か4両の編成で、見たところ無人で運転されているようだ。見通しの効く高架区間から地下にもぐりKLCC駅で下車、開店前のショッピングセンターの中をしばらく人の流れについていくとあのペトロナスツインタワーの袂にたどりつく。あたりをウロウロしたり、上を見上げてみたりと、傍から見ればほとんど"おのぼりさん"状態である。おお、何だかすごい都会じゃん!と言ったらKLに失礼だが、きれいに整備された公園シルバーメタリック巨大な建造物のコントラストはなかなか絵になっていた。ここはまた後で来るだろうから、別の場所に移動してみることにしよう。
マスジット・ジャメ
再びRapidKLに乗り込みマスジット・ジャメへ向かうことにした。その名の通りマスジット・ジャメ駅で下車し、交通量の激しい道路を渡るとすぐ正面にモスクの入り口がある。マスジット・ジャメクアラルンプールでも主要なモスクのひとつで、礼拝時間以外ならツーリストも見学することができる。中の人が扉を開けてくれてレジストレーションするよう促され、サイン帳のようなものに記帳する。肌の露出が多い場合には上に羽織るものを貸してくれるので、女性も見学ができるようだ。こじんまりとはしているものの、周囲の緑イスラム様式建物の白がうまく調和し、絵はがきのように美しい。外の喧騒も感じられず、なかなか居心地のいい場所だった。本堂を覗き込むと大理石が敷き詰められた床になっており、ムスリム以外が立ち入れるのか分からなかったので、とりあえず外から見学するだけにした。イスラム教のモスクの中に入ったのは生まれて初めてだったが、ちょっと貴重な体験をさせてもらったかもしれない。
クアラルンプール
敷地の外に出てもう少し周囲を歩いてみることにした。通り沿いをしばらく進み、大きな交差点に出くわすとなぜか左手の道路が封鎖されている。交差点の先に見えるのが独立広場(ムルデカ・スクエア)のようだが、どうやら昨日ニュースでやってたデモ隊を締め出すためにバリケードが張られてるらしい。確か、イギリスから独立する際に国旗が掲揚されたのがこの場所で、道路を挟んだ正面にある建物がスルタン・アブドゥル・マサド・ビルだったと思う。当時のイギリスを思わせる様式でありながら、建物のてっぺんはドーム型になっていたりと、イスラムの匂いが感じとれる。旧イギリス統治下は連邦事務局だったものを、今日では裁判所として使われているという。ぱっとみた感じ、デモなどの危険はなさそうなので、このまま街歩きを続ける。バリケードを避け、裏手の小道をオールドタウンの方向に進み、クアラルンプールの地名の由来にもなっているところにやってきた。『クアラルンプール』というのは、マレー語で「泥の川の合流した場所」という意味だそうで、クラン川とコンバック川の合流する場所にいま立っている。その向こうには、先程見学してきたマスジット・ジャメの建物が見える。いかにも東南アジアっぽい風情といった感じだが、さらに遠くには近代的な高層ビルが林立してたりと、いまのアジアを物語ってるようにも思えた。
KLタワー
みたびRapidKLで移動し、一旦KLセントラルに戻ってきた。もう一度駅の周辺歩いてみたが、そこかしこで工事が進められ、どうも落ち着かない。少し疲れたので休憩かねがねKLセントラルの中で軽くお昼をとることにした。別に凝った食事をする必要もないので、目の前にあったファーストフード店に飛び込む。ただ空調の効いてるというだけで、それはそれでありがたい。適当に時間をつぶした後、コインロッカーから荷物を取り出しホテルにチェックインすることにした。朝よりは方向感覚がつかめてきたので、今度はモノレールに乗ってみることにする。工事中の狭い通路を抜け、モノレールの駅へと向かう。自販機よりも窓口の方がすんなりいきそうだったので列に並んでみる。ホーム階に上がり、地元の人で混雑した中で待っていると小ぶりのモノレールがやってきた。モノレールは高いところを走っているので眺めがよい。下調べが不十分だったので多少不安はあったが、ラジャチュランという駅で降りて、街中を適当に歩いてみると運よくホテルの近くへと出てくることができた。さほど期待せずに予約を入れてあったが、どうやら結構レベルの高いホテルのようである。レセプションの受け答えもとても丁寧で手際もよくすんなりチェックインを済ませることができた。少々割高感はあったがペトロナスツインタワーの見える部屋を選択したのは大正解!広い部屋に開放感のある大きな窓がなかなかよいではないか…。ウェルカムフルーツでひと息ついたとこでまだ15時だったので、もう少し街歩きをしてみることにした。
KLタワーからの眺め
ホテルを出てからは公園を通り抜けて再びKLCCへと向かう。平日だというのにショッピングセンターは多くの人でとても賑わっている。こんなところからもアジアの新興都市の勢いを感じる。台北101にも似た雰囲気のショッピングモールは都会的で東京より元気があるように思えた。朝一と同じルートでKLCC駅へ向かい、同じようにLRTを利用して今度はブキビンタンで下車する。とりあえず高いところは行っておこう!という気持ちから、KLタワーを目指すことにした。目的のタワーは遠くからでも見えるので、そう迷うことにはないはずだ。途中、不意に呼び止められ、何を言われるのかと思ったらタワーへ向かうシャトルバスが来るのでここで待っておけ、ということだった。やって来たのはバスというよりライトバンだったが、これで少し楽をさせてもらう。数分ほど坂道をぐいぐい登ったところで車を降りると正面にタワーが見えてきた。まぁ、とにかく上にあがってみよう。KLタワーは小高い山の上に立っており、KL市内を一望することができる。地図を想像しつつ建物の位置関係を確認したりしながら、東南アジアの都市の景観を満喫する。ぼんやりしながらしばらく時間を過ごし、放っておけば何時間でも居られそうなので、適当なところで切り上げることにした。帰り道もシャトルバスを利用させてもらい麓まで下りてくると、日も傾き昼間の暑さのピークは過ぎたように思えた。道路脇には鬱蒼とした街路樹に耳慣れないカラスの甲高い声が鳴り響いている。あらためて赤道直くの熱帯地域にいることに気づく。そうだな、もう少し歩いてみることにしようか…。ペトロナスツインタワーは遠目にも一番目立つランドマークなので、とりあえずそちらを目指していけばよい。昨晩は機内泊だったのもそうだが、結構歩き通したので、明日に向け余力を残した感じにして夜景を眺めながら今日は締めくくることにした。
ペトロナスツインタワー
 2日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
国立モスク、イスラム美術館、ペトロナスツインタワー、パサーセニ
当初、クアラルンプールには立ち寄る程度と考えていたが、シンガポールで4日間過ごすよりもKLの滞在を1日増やした方がいいように思えてたので、移動は次の日にしていた。しかしながら、何かプランがあったわけでもなく、基本的に街歩きがベースとなる。なので、朝はスロースタートでもよかったのだが、早い時間に並んでおくとペトロナスツインタワースカイブリッジを見学するためのチケットが入手できるとのことで、それを押さえておくことにした。枚数に限りがあるとのことだったが1時間ほど並んで無事にゲット、このときは何も考えず15時で予約したものの、あとで少々後悔することになる。
国立モスク
今日はまず国立モスク(マスジッド・ネガラ)へ行ってみようと考えている。RapidKLパサーセニ駅から歩いていけるようだが、途中行きがけにクアラルンプール駅に立ち寄ってみることにした。クアラルンプール駅KLセントラル駅ができるまでKLの中心駅だったという。高架のパサーセニ駅からは見下ろす感じで全景を眺めることができるのだが、主役の座を譲ったいまはひっそりとしている。しかしながら、重厚な白亜の建物は遠目にも目立つ存在であり、どんな雰囲気なのか近くに行って確かめたくなった。パサーセニ駅を降りてみると、泥川の脇の通りはバスや車がひっきりなしに行き交っており、問題のデモ隊と思われる一団が何かシュプレヒコールを叫んでいる。さてと、クアラルンプール駅に通じる通路は封鎖されているようだが、どうやって行ったらいいのだろう?
国立モスク
長いホーム無骨な柱と屋根落ち着いたたたずまいは時代を感じる。駅舎の方は薄暗く不気味な感じがしたが、いまはホテルとして利用されており、ぱらぱらと人の姿もあった。通りを挟んだ向かいにはマレー鉄道の事務局が入った建物があり、こちらもまた存在感があっていい。噴出した汗でいつしか全身びっしょりになっていたが、キョロキョロしているとバックパッカーらしき人に「ナショナルモスクはどこにあるか知ってるか?」と声をかけられる。面倒なので「多分あっちじゃない?」と返事をしておいた。5分もたたないうちにこんどは別の女性のバックパッカーから「ナショナルモスクはどこだ?」と聞かれたので、同じように「多分あっちじゃない?」と答えておく。いや、ここは「では、一緒に行きましょう!」と言えばよかっただろうか、、、なんてことを考えながら、自分もモスクがあると思われる方へと向かうと、数分で国立モスクに到着した。
国立モスク
昨日のマスジットジャメ同様、礼拝時間以外はツーリストにも開放されており、女性も肌を隠すものを貸してくれるので、中に入ることができる。国立モスク(マスジット・ネガラ)は、オープンなつくりになっているため、いわゆる伝統的なイスラム様式とは若干違った印象を受ける。ちなみにマレーシアの国教はイスラム教でクアラルンプールの街中にいると、1日に何回かどことなくコーランが聞こえてくる。女性の服装を見てもスカーフ風の布切れを頭に巻いて頭髪を隠すのが一般的だが、一面黒ずくめ様相とは違いおしゃれな印象を受けるのも特徴だ。さて、靴を脱いでモスクの中へ足を踏み入れると、白い大理石が敷き詰められておりひんやり冷たく感じられる。見通しの効く通路独特の色彩、鮮やかな模様の礼拝室、、、何ともいえない雰囲気に時が経つのを忘れそうになる。しばらく歩いているうちに先程のバックパッカーのお兄ちゃんに出くわし、ここでシャッターお願いします攻撃に遭遇する。おっと、今回はそう来たか…。(苦笑)
イスラム美術館
国立モスクを出たあと、すぐ近くにイスラム教を扱った美術館があるという情報を目にしていたので、ちょっと足を延ばしてみることにした。強い日差しの下、と反対側の方に向かってしばらく歩いていくと、これまた美しい建物へとたどりつく。ぱっと見、近代的なミュージアムなのだが、イスラム様式ドーム型の屋根がひときわ目を引く。早速、中に入ってみることにしよう。実際に見てみるまではどんなものがあるのか想像できなかったが、世界各地にあるモスクの模型や、工芸品と見間違うくらいに装飾されたコーラン、アラビア文字をデザインとして使った日用品数々の装飾品など、美術館・博物館好きには十分満足のいく内容だった。英語で説明が書かれてたので、どこまで理解できたのかは定かではないが、建物自体も凝ったもので、偶然にしては思わぬ穴場を見つけたようだ。
イスラム美術館
その後、もう一度クアラルンプール駅に戻ってみることにした。の中には博物館らしきコーナーもあったのだが、展示物は梱包され、物置のような扱いを受けている。何だかもったい気もするのだが…。そうだ、1駅だけだけどKLセントラル駅まで列車に乗ってみるか。あらためてプラットフォームに行き、行き交う列車を眺めたりする。時間帯によっては長距離列車も通過するらしいのだが、そんな優雅な汽車旅も経験してみたいものだ。ダイヤはあってないようなものだということは何となく想像ついたが、30分ほど待ってようやくやってきたKTMコミューターKLセントラルへ向かうことにした。
クアラルンプール駅
再びRapidKLに乗ってパサーセニ駅まで移動し、今度はの近くにあるバザールへ行ってみることにしよう。どれどれと、、、セントラルマーケットの中にはマレーシア以外にもいろいろな国のお店が入っていて、これまた、見てるだけで飽きないものだ。外の通りを埋め尽くす露天にも圧倒されそうだが、アジアの市場はどこへ行っても賑やかで楽しい。そんな感じでチャイナタウンとその近辺を見てまわる。どこかエスニックな匂いが鼻に付くと、そこは本場のインドカレーを扱う食堂でちょっと試したい気もしないわけではないが、さすがにひとりで入る勇気はなく、とりあえず遠目に見ておくだけにとどめた。
パサーセニ
昨日はKLタワーに行ってみたが、今日はペトロナスツインタワーに登ってみることにしている。ホテルからも見えたツインタワーは、いまではすっかりクアラルンプールランドマークとして有名になったが、日本と韓国のゼネコンがひとつづつ建てたのはいいが、いろいろ裏話もあったときく。予約してた時間帯になり集合場所に向かうと、スタッフの案内によるツアー形式で建物の中を見学していくようだった。まず最初にエントランスで、ミストに映し出されたホログラムの説明を受けることになる。その後、奥に進みエレベーターに乗って2つのタワーを結ぶスカイブリッジへ出てきた。ここで、さぁこれからというときになって、いきなりバケツをひっくり返したようなスコールに見舞われてしまう。あちこちから雷鳴が響きわたり、さすが熱帯の気候は半端じゃない。スカイブリッジの見学は時間で区切られていて、あまり景色が見えずちょっと残念だったが、偶然にもどちらかのタワーに落雷があったようで稲光と同時にバリバリバリという轟音が鳴り響き、それはそれで貴重な体験ができたのかもしれない。スカイブリッジに続いて最上階まで登り、展示コナーなどをひと通り見学していく。天気は回復せず景色を楽しむ間もなく時間となってしまったが、まぁ、昨日がいい天気だったので、それでよしとするか。ペトロナスツインタワーの見学を終え、あらためてKLCC公園へ向かうと建物の外は恐ろしいばかりの雨だった。
ペトロナスツインタワー
しばらくすると雨は多少弱くなってきたものの、カラッと上がるような雰囲気ではなかった。午前中淀んでいた泥川は明らかに表情を変えており、何しろ湿度が半端ない。コンディション的にも屋外の街歩きには向かなくなってきたので、最後は適当にフードコートでも探して、今日は締めくくることにした。きっちりしたお店に入るのも面倒だし別に屋台でもいいのだが、要らぬ不安を避けるにはフードコートが意外と使えるものだったりする。いくつかお店をみてまわうちにサテーの文字を見つけたのだが、残念ながら今日はもう売り切れてしまったとのことだ。とりあえずナシゴレンで軽く済ませておくことにした。地元の人半分、観光客半分といった感じだろうか、賑やかな雰囲気の中、ローカルフードを味わうのも悪くない。A380に乗るために半ば勢いだけでシンガポールへ来て、さらにそのついでのクアラルンプールだったが、それはそれで十分楽しめたのではないか、、、ということにしておこう。
ペトロナスツインタワー
 3日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
クアラルンプール国際空港、SQ107、チャンギ国際空港、マーライオン公園、チャイナタウン、リトルインディア
クアラルンプールへ来て3日目、今日はシンガポールに戻ることにしている。さてと、、、今朝は早めに食事を済ませ、居心地のよかったホテルを後にしなければならない。朝食のビュッフェもバラエティーに富んでいて、正直なところ、もう数日いても飽きないほどだった。往路とは逆にKLセントラル駅に出てからKLIAエクスプレスクアラルンプール国際空港(KLIA)へ向かう。何となく流れる車窓に目をやりながら、短い滞在を振返っていた。30分ほどでKLIAへ到着、早々に搭乗手続きを済ませ、サテライトビルまでエアロトレインに乗って移動する。広い空港なだけに成田空港のシャトルなどとは比べものにならないほど本格的な"乗り物"で、広大な敷地の中をがんがん走っていく。車窓の眺めも広々としてマレーシア航空の飛行機がいっぱい止まっているのが見える。やがてサテライトビルへ到着、森林をイメージしたといわれる雰囲気にあらためて懐かしさを覚える。確かMHのゴールデンラウンジが上のフロアにあって、、、おおNOODLE屋の"のぼり"もあるじゃないか…。(謎)(後日談:その後、マレーシア航空でこの空港を利用する機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
クアラルンプール国際空港
アウェー(?)だけあって、KLIAのシルバークリスラウンジはこじんまりとしていた。まぁ、3、40分くらいしかいないので、どうでもいいけど、外を眺めているとこれから乗ると思われる機材が入ってくるのが見えた。今日はシンガポール航空のSQ107便シンガポールへ向かう。前後の流れ(?)から、この便もビジネスクラスを予約してあったが、使われるのはA330で、やはり日本ではあまり馴染みのない機種である。(余談:スカイマークのA330に乗ったときの旅日誌はこちらをご覧ください。)外を見たり、昔のことを思い出してるうちに時間は過ぎていき、出発時刻が迫ってきたので搭乗口へ向かった。SQ107便の出発はオンタイムとアナウンスされている。着席するや否やウェルカムドリンクのサービスが始まるのだが、午前中のそれも1時間もないフライトなのでソフトドリンクが用意されていた。とにかく、CAさんも準備に慌しくしている。ドアクローズ後、空港の中をダラダラとタキシングしていると、イラン航空のB747短胴機の姿が目に入った。おお、これはこれはまた、いとありがたきことなり。
シンガポール航空・SQ107便・シンガポール行き
クアラルンプール空港を出発し、ベルト着用サインが消えた後、一応、ミールサービスもあったが、フライトマップを見ていてもシンガポールにはあっという間に着くことになる。高度を下げる途中、雷雲の中を通過する際に強い揺れを感じたが、視界が開けるとが見えてきた。マラッカ海峡からシンガポール海峡に差し掛かるあたりだろうか、それにしても、ものすごい数の船が行き交っている。SQ107便は1時間も経たずにチャンギ国際空港に到着した。時計を見るとまだお昼の手前、余裕をもったスケジュールはいいのだが、ホテルに直行してもチェックインするにはちょっと早そうだ。荷物がちょいと邪魔クサイが、空港内でも見て少し時間をつぶしておくか…。わずかばかり残ったリンギットを持っていても仕方ないので、なぜか持ち合わせていた香港ドルとあわせてシンガポールドルに両替する。それでもMRT代+αくらいにしかならないので、あとは市中で両替することにしよう。
マーライオン
シンガポールMRT(地下鉄)も問題なく利用できる感じだった。途中、乗り換えが必要だったが、シティー方面の電車に乗ってホテルの最寄り駅で下車、外へ出ると熱帯の蒸し蒸しとした空気が全身にまとわりつく。特に迷うことなく予約したホテルを見つけ、まずはチェックインを済ませる。KLで泊まったホテルに比べるとちょっと見劣りするが、まぁ、普通のビジネスホテルとしてみれば十分ランクは上位の部類に入る。さてと、、、何かしたいわけでもなく何となくやってきてしまったシンガポールだが、今日もまだまだ時間はあるので、とりあえず手始めに世界三大がっかり(?)のひとつマーライオンの実物でも見ておくことにするか。で、その感想は、、、思ったよりがっかりしないことにかえってがっかりするかも(んん、日本語が変?)と聞いていたが、言われてみればそんな感じだった。ここに来るまでは、もっとこじんまりとした公園を想像していたが、湾の向こうにはマリーナベイ・サンズが一望できる。何はともあれ有名な観光地なのでマーライオンの周囲は多くの観光客で賑わっていたが、目の前のウォーターフロントは広々として思いのほか気持ちがよかった。
チャイナタウン
マリーナベイ・サンズには明日あらためて行ってみることにして、今日は街歩きに徹することにしよう。ラッフルズ・プレイス駅の近く、シンガポール川沿いのプロムナードをしばらく進み、特にあてもなく歩いていく。結構遠回りしたようだったが、何とかチャイナタウンにたどりついた。通りにはそれっぽい建物が立ち並び、奥の方にも続いているようだ。やや怪しいショッピングセンターを見たりしてるうちに、立派な寺院があったのでちょっとだけ建物の中見学させてもらう。ちなみに、新加坡佛牙寺龍牙院という名前はあとから知ることになる。まだもう少し時間があるのでMRTに乗ってリトルインディアまで足を延ばしてみることにした。雰囲気も、行き交う人々一種独特で、何とも印象深いところばかりだったが、シンガポールという場所は本当にいろんな人種が狭いところに集まってるんだなぁ~とあらためて実感する。そんなこんなでかなり長い時間をかけて徘徊してきたが、夕食はまたいつものようにローカルフードにすることにして、、、でも、結局何が決め手かよく分からず、とりあえずチキンライスという表記をたよりにこいつで締めとすることにした。
リトルインディア
  4日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
アラブストリート、サルタン・モスク、マリーナベイ・サンズ、オーチャードロード、セントーサ
連日、ずっと同じようなことを言っているが、取り立てて今日もどこかへ行こう!といったような思いがあるわけでもない。とはいうものの、何も考えずに行動するのももったいないので、ラフなイメージを描きつつ出発することにした。まずはMRTに乗ってアラブストリートへ向かう。この時間は観光目当ての人の姿はなく、平日の朝らしくブギス駅から吐き出された人の群れは自分の職場に向かって足早に歩いていくだけだった。しばらくしてアラブストリートの看板をみつけ、イスラム色漂う街並みの中を歩いてみる。ずらっと並んだ建物それっぽい雰囲気をかもし出しているのだが、同時に遠くの近代的なビルも視界に入り、こういうところがシンガポールらしいといえるのだろうか。さてと、アラブストリートにはサルタン・モスクというシンボル的存在のモスクがあり、ここを目当てに訪れる観光客も多いという。早速そこを訪れてみることにしよう。一番の特徴はドーム型の金色の屋根で、周辺の景色にも溶け込んでいて、なかなかいい絵になっている。ちょうど9時になったので、中を見学させてもらうことにした。入り口にいた人からは、まずそこで靴を脱いでね♪とか、ムスリムでない人でも礼拝室の手前までなら見学OK、その先は行っちゃダメ!とか、いくつかマナーに関する注意事項を受ける。建物の中に足を踏み入れると、どこかピリッと張り詰めた空気を感じる。独特の緊張感というか、神聖な空間に身を置いてみて初めて分かるものもあるようだ。雰囲気だけでも記録にとどめたかったので、差し支えない程度に何枚か写真を撮っておくことにした。
アラブストリート
その次は、高いところでも…と思って、マリーナベイ・サンズに行ってみることにした。屋上が船型のバカでかいホテルといえば分かるだろうか、どういうわけか高いところが気になってしまうタチなので、ここも登っておかないときっと後悔するに違いない!と考えたわけである。最近、開業したMRTのベイフロント駅からはショッピングモールを通ってホテルのロービーまで直結している。屋上展望台であるサンズ・スカイパークの入り口は多少分かりづらいところにあったが、いうまでもなく展望台からの眺め爽快、昨日行ったマーライン公園も上から見下ろすことができる。雨や風が強かったら、こんなにはのんびりはしてられないだろうけど、ついつい長居したくなるような場所だった。ところで、噂に聞く屋上プールもちょこっとだけ見えたのだが、あれは本当に楽しいものなのだろうか?まぁ、どうでもいいか…。
サルタン・モスク
そうこうしてるうちにお昼どきになり、どうしようか何となく考え始めていた。間違えてもこんなところで食べたら高くつくので、場所を移動することにしよう。ということで、オーチャードロードを目指す。オーチャードロードという名前は、かつてここが果樹園だったことに由来するという。通りの両脇には大きな樹生い茂っている。ここはシンガポールきっての目抜き通りで、東京でいったら銀座か新宿といった感じの場所だろうか?とはいっても、必要以上に気取る場所でもなく、大型の商業施設がひしめく姿は圧巻だ。やっぱりここでもフードコートを探すのが一番!ということで、数あるショッピング・コンプレックスの中から高島屋に行ってみることに…。日系だけあって日本食のお店がやけに目立ったが、マレー式ビリヤニの文字を見つけそいつを選択、、、するとここで思わぬ展開が待っていた。
マリーナベイサンズ
空いてる席を見つけ、食事をしていたら突然「ここ空いてるか?」と現地の人が声を掛けてきた。もちろん断る理由はないので、正面の席に座ってもらう。赤いTシャツのお兄ちゃんも同じビリヤニを喰っていたが、何となくいいタイミングで食べ終わり、するとその赤シャツがふと話しかけてくる。「昼時と夕方仕事が終わったあとはすっごく混んでるんだよ、で、お前どこから来た?シンガポールは初めてか?仕事か?ホリデーか?」とお決まりの挨拶から始まる。「TOKYOから来たんだけど、2、3日前までKLにいたんだ」なんてところから思わず会話が弾んでしまうことに…。どうやら同じものをうまそうに喰ってたように見えたらしく、それで話しかけてきたと言ってたが「インド人に囲まれて仕事をしてたことがあって、それで1度だけハイデラバードに行ったことがある。そのとき覚えたビリヤニがの味が忘れられなくて、でもTOKYOじゃ食べられなくってさ…」なんて伝えたら妙に納得した様子だった。(余談:インド滞在中に習ったのですが、左手のフォークの背を使ってかき集めたご飯を右手に持ったスプーンにひょいとのせるしぐさを見てたようです。)
オーチャードロード
結局最後は、ほとんど一方的に向こうからシンガポールの解説をしてもらったのだが、都合30分くらい話しをしていただろうか?オーチャード近辺は便利だろ!とか、MRTには東西線と北東線と最近環状線になった南北線があってめぼしいところは簡単に行けるとか、住宅事情やら教育環境とか、最近のジョホールバルのこととか、これからバーゲンセールの時期なんだぜ!なんてことまで教えてくれた。タクシーはぼったぐらないし、ちょっと物価は高いけどシンガポールは安全で便利だろ…と終始強調していた。まぁ、確かにその通りのようだ。最後に「ランチタイムに突然話掛けてごめんな」みたいな感じで話が終わったが「こちらからも楽しい話をありがとう」と握手までして別れてきた。いつもそんな感じで声をかけてるように見えたが、逆に自分がその立場なら果たして東京で海外の観光客に声を掛けることができるだろうか?決して英会話が堪能なわけではないが、言ってることの7、8割は理解できて、中学校英語でいいのでこちらの意思を伝えるコツさえ持ち合わせていれば、不思議と会話は成り立つ。旅を楽しむいいアクセントとなった。
オーチャードロード
再びオーチャードロードを歩いていくことにした。それにしてもすごいなぁ~行けども行けども巨大な店舗が軒を連ねていて、、、そのうちいくつか中に入ってみたが、どこも商品は豊富に並んでるし、人もわんさかいて本当に賑わってるのがよく分かった。別にショッピングが目的というわけでもないので、ほとんど眺めてるだけだったが、ついでお土産なんかも購入しておくことにした。なんて感心してるうちに気がつけば駅2つ分を歩き通してしまい、さてどうするか?と考えたところで、セントーサへ行ってみることにした。
セントーサ
MRTを乗り継いでハーバーフロント駅に向かう。外に出てみると神戸のような雰囲気の場所に来ていた。セントーサは、島全体がテーマパークになっていてシンガポールを代表する観光スポットだという。日本で言ったら、きっと舞浜かお台場のような場所だと思うのだが、最近ではユニバーサルスタジオもオープンし、人気のある場所らしい。きっちり立ち寄るつもりはなかったのだが、折角なのでとりあえずどんなところか見ておくことにした。予習が間に合わずアクセス方法がよく分かってなかったが、いずれにせよ入島料必要らしいので、見晴らしのよさそうなケーブルカー(ロープウェイ)に乗ってみることにした。セントーサにもマーライオンがいて、こちらは昨日見たものよりもはるかにでかく、見かけもごっつい表情をしている。このマーライオン中に入ることができて、一番上まで登ると口の中から外の景色を見られる構造になっていた。夜になると不気味に(?)ライトアップされるそうだが、どんなものなのだろう。公園の中を少しだけ見てまわり、人工ビーチがあったので最後に立ち寄ってみた。別にリゾートしに来たわけではないので、適当な時間で切り上げることにした。
セントーサ・マーライオン
セントーサからの帰りがけ、ふと寄ったフードコートで夕食にしておくことにした。中華料理はもちろん、マレー料理にタイ料理と、いろんな国の出店があり、どれもこれもで目移りしてしまったが、結局気がつけばまたインド料理を選らんでいた。おいおい、そんなに好きだったっけ?(汗)最後は締まったような、締まらなかったような、ゆるゆるな感じになってしまったが、もともと何も考えてなかったので、こんな1日であっても別にいいのかもしれない。そうだ、明日のMRT代だけ残して手持ちの現金は使い切ってしまおう。ホテル近くのコンビニに立ち寄りタイガービールを購入、マレーシアから毎晩飲み続けたこいつも今宵が最後か、、、そう思うと名残惜しいものだな…。(苦笑)
シンガポール・ローカルフード
  5日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
チャンギ国際空港、SQ12、成田空港
わずか3日ほどの滞在だったが、これでシンガポールをあとにする。帰りの便シンガポール航空A380ビジネスクラスを予約している。朝7時にはホテルをチェックアウトしチャンギ国際空港へ向かう。本当はもっとゆっくりしたいところだが、帰国便となるSQ12便は現地時間で朝9時半前の出発なので、こんな慌しいスケジュールになってしまった。最寄駅であるタンジョンパガー駅からMRTに乗り込むのだが、既に通勤・通学の人で混雑し始めている。時間のことを考えると、タクシーやバスよりもMRTの方が正確なので、多少窮屈なのはガマンしよう…。地上に出るとその先は高架区間が続き、冷房の効いた車内からしばらく外を眺めていた。タナ・メラ駅でチャンギ・エアポート駅行きに乗り換えると、数分で空港に到着できる。昨日の赤シャツの兄ちゃんも言ってたが、旅行者にとってもMRTは便利な乗り物だ。
シンガポール航空・SQ12便・成田行き
順調に来たとはいえ、空港での待ち時間はあまりない。ビジネスクラスの利用なので、チェックインカウンターに並ぶ必要もなく窓口さっと出発手続きを済まる。数日前、往路の乗り継ぎで利用したシルバークリスラウンジに立ち寄ってみたものの、さほど長居するわけでもなく、貧乏性なせいかちょっともったいなかったか?なんてことを考える。行きと同様、SQ12便A380で運航される。大型機だけあって、乗り込む人の数もとても多い。ちょっとだけ機体を眺め、Yクラスの列を横目に機内には先に乗り込む。予約時点で残席がわずかだったので翼の上の席を指定してあったが、2階席なのでそれなりに眺めも悪くない。まぁ洋上を行くだけなので景色を楽しむということもないのだが…。帰りの所要時間も往路と変わらず7時間ほど、まずは離陸前にウェルカムドリンクのシャンパンをいただく。さぁ最後までA380のフライトを楽しむことにしよう。
SQ12便の機内の様子
SQ12便は遅延なくドアクローズ、一路成田空港へと向かう。チャンギ国際空港シンガポール航空のハブ空港なので、タキシング中もA380の姿が何機も見えた。滑走路の手前、珍しいことなのか分からないが、離陸の順番待ちの途中で軍用機が割り込み先に飛び立って行く。そして搭乗機はテイクオフ、陸地がぐんぐん離れていき、海上は相変わらず多くの船が行きかっていた。なんだかあっけない滞在だったなぁ~。ビジネスクラスはほぼ満席、人気が高いことがうかがえる。しばらくして、例のユニフォーム姿のCAさんが食事のメニューを聞きにきたので、帰りもインターナショナルメニューをオーダーしてみる。細かいことまでは分からないが、シェフのおすすめはどうやらメインは魚料理のようだった。スターターであるサテーから始まる。正直なところ、出される料理を珍しがって口にするだけなのだが、格別なワインとともに普段とは違う食事を存分に楽しんでおくことにした。
SQ12便の機内食
食事に続いてデザートをいただき、ホッとしたところで何となく映画を見始めた。1本見終わったところで、別の番組を見る。意外にも眠気は感じず、暗くなった機内でPCをいじったりしてるうちに時間は過ぎていった。やがてSQ12便は着陸体勢へとなる。成田には南側からのアプローチとなりA滑走路にランディング、これでA380の旅は終わってしまった。この機材はこのあとロスに向かうのだが、通しで乗る人も一旦降りるように案内が入る。待望のA380、それもビジネスクラスと、かなりの奮発だったが、長時間のフライトでもまったく疲れ知らずで、ぜひまた乗ってみたいと思った。ただ、財力が持つかが問題なのだが…。
SQ12便・フライトマップ