■旅日誌
[2013/4] SAWASDEE - Thailand
(記:2013/8/31 改:2021/7/4)
(記:2013/8/31 改:2021/7/4)
久々のまとまったお休みだったので、ほぼ1週間使ってタイへ行ってきました。どうしても行きたかった…というわけでもなかったのですが、仕事でGWがつぶれそうだったので、とにかく現実逃避の思いだけで遠くを目指すことにしました。いつものように準備不足での旅立ちでしたが~微笑みの国~で少しは癒されたでしょうか?
※下線部をクリックすると写真が表示されます
※下線部をクリックすると写真が表示されます
1日目
「いやぁ~もう既に予定組んじゃって…」何かあったとき、そんなセリフで言い訳できるようにGWの予約を入れることにした。カレンダー通りであれば休日が前半と後半で割れていたが、なんと今年は10日間連続でお休み扱いになるという。ただ、周囲の様子からして、いつ「ヘルプ入ってくれない?」と声が掛かっても不思議ではない状況で、とにかく既成事実をつくるしかない。簡単に戻って来れないようにするには遠出しかないか、、、うん、これは確信犯以外何者でもない。何だか去年のGWと非常に近い流れになってきたが、これまた同じような話で今年の1月からタイ国際航空が日本にA380が就航してることを思い出し、行き先はタイに決定。いつしか"4時間以上はビジネスクラス"という変なルールも定着し、こうなりゃA380C席乗り比べ!と意気込んで空席照会、、、空いてる日を適当にブックしてみたら、1週間滞在する日程が出来上がってしまった。
意外にも往路は連休初日に空きがあり、毎度ながら慌しい出発となってしまった。その行きのTG677便はバンコクからの折り返し便で成田出発は17時半、時間的には余裕はあるものの、心も体も(荷物も?)準備OKとは言い切れずどこか落ち着かない。そんな感じでNEXの車内からスカイツリーを眺めながら、徐々に逃避モードに気持ちを切り替えていく。成田に着いて早々に手続きを済ませようとしたところ、タイ国際航空(TG)の窓口が開くまでもうしばらく時間がかかるとのこと。仕方ないのでそこらで時間をつぶし、あらためて搭乗手続きに向かうと指定してあった座席はキャンセルされていた。きっとこの先もこんなペースに違いない。A380用のスポットは先の方にまとめられており、既に搭乗機がスポットインしていた。TGはスターアライアンスなので、ANAラウンジが利用できる。そういえば朝から大したものを口にしてなかったけど、去年もこのラウンジでうどん喰ってたら地震があったよな…。あれ?渡航先の予習してるのも一緒だし、まったく進歩がないなぁ~(苦笑)
内心そわそわしながら、でも表情は余裕ぶって上級クラスの2階席に乗り込むと早速フライトアテンダントのお出迎え、、、「サワディカ~」胸の前で手を合わせるワイのポーズに思わずこちらも微笑んでしまう。前方のF席エリアを通ってC席エリアに入る。紫を基調にした落ち着いた雰囲気がなかなかいいではないか。あらためて指定された席は残念ながら通路側になってしまったが、まぁ細かいことは気にしないでおこう。車のような3点シートベルトだったので、離陸直前まで締めないでおく。ウェルカムドリンクのシャンパンを受け取ると、さぁ始まったね♪ってな感じで気分が高揚してくる。ドアクローズまでしばらく時間があったが、LCCのように常にオンタイム!と急かされることもなく優雅なもんだ。なのであまり時間は気にしていなかったが、出発は15分くらい遅れていただろうか。
成田からバンコクまでの所要時間は約6時間半程度、夕方出発で東京との時差2時間を考慮すると22時頃に到着する見込みで、ちょうど夕食どきの時間帯になる。座席まわりやアメニティ、機内誌、AVサービスの内容などを確かめたりしているとメニューが配られる。座席の位置が悪かったせいか、サービスが提供される順番は一番最後の方らしい。まぁ、そうして待っている時間もまたいいもの、、、飲み物とメインの種類をオーダーし、まずはスターターの焼き鳥が提供される。サテーのようなエスニックものでもないのか…。多分、これから何度もお世話になる(?)だろうシンハー(タイのビール)に口をつけ、前菜をいただく。やっぱりトレーに乗ってくる食事とは違うなぁ~(笑)迷いながらもメインに選んだタイカレーは適度にスパイシーで、それでいてどこかマイルドな風合いがなかなかいける。デザートはフルーツ類とスイーツが分けて出され、ひと通りの食事が終わった。正直なところ、去年乗ったシンガポール航空の方がファシリティも食事も上のように感じたが、まぁ、あちらが別格とみれば単純な比較には意味がないのかも。それにしても、いつからそんなこと語れるご身分になったんだか、、、(余談:別のところでA380に乗ったときの旅日誌はこちらをご覧ください。KE・SQ・EK・OZ・CZ・EY・QR・MH)
映画を1本見切って、ふとフライトマップに目をやると台湾上空を通っていた。その後、海南島のあたりを通過してインドシナ半島を横切るようである。そんな感じでようやくバンコクの位置関係が分かってきた。先程、成田でダウンロードしておいたガイドブックのPDFファイルにでも目を通しておくことにするか。時間が経つに連れ到着予定時刻がジリジリと後ろにずれているようで、バンコク到着は定刻より1時間近く遅れそうだった。別に急いでるわけではないのだが、初めての地で深夜迷うのもあまり気分のいいものではなく、ちょっと気がかりになってくる。最後にリフレッシュメントで出てきたマンゴスチンのシャーベットで意識をしゃきっとさせる。そうこうしてるうちに着陸態勢へ入り、TG677便はスワンナプーム国際空港に到着した。空港内をしばらくタキシングしてあとスポットイン、予定より長めのフライトだったがやっぱりそこはC席、それ程疲れた感覚はなかった。こちらの時刻で23時、とりあえず入国手続きを済ませ、今夜の宿へ直行することにしよう。あれこれ迷うのもイヤなのでパブリックタクシーの看板を頼りに手元のメモを見せ、目的の場所まで連れて行ってもらうことにした。わざとかどうか分からないが、少しだけ道に迷ったものの無事に到着。確かに分かりづらそうな場所だったが、メーターの金額を無視してニコニコしながら切りのいい額を要求してくる。日本円にして100円くらいだし、きっと空港使用料とかも必要なんだろう…と思ってそのまま払うことにした。(後日談:あとで計算したら、やっぱり端数分をまけてくれてたようです。近いところなのに悪いことしたかな??)
2日目
夜遅い到着なので、最初は空港に隣接した名の通ったホテルを利用しようと思っていたが、あまりにも高すぎて評判もイマイチ、数時間寝るだけということもあって思い切って別の場所を探してみた。初めて行く場所なので少し心配だったが、そんな酷いわけでもなくコスト見合いの無難なところだった。若いスタッフもきちんと対応してくれたし、翌朝早めに出発するようアドバイスをもらう。そんなわけで、余裕をみて4時にチェックアウト(早っ!)送迎用の車で空港まで送り届けてもらう。往復の便の都合で今回は長い滞在になったこともあり、今日1日はバンコクを一旦離れチェンマイへ行ってみようと思う。なんでチェンマイ?という質問に対して明確な答えがあるわけでもなく、単に1日で往復できそうだったので思いつきで足を延ばしてみることにした。さぁ、あらためてスワンナプームからの出発だ。
早く着いてしまったのでドメのカウンターが空くまでしばらく時間があった。タイでは長距離移動する場合、顔写真入りの身分証明書が必要なので、国内線でも搭乗手続きの際にパスポートの提示が求められる。帰りのチケットも発券してもらい、セキュリティエリアへ進む。国際線と違って、エリア内はただ広いだけでお店らしいお店はほとんどなかった。唯一、ファーストフード店が立ち並ぶフードコートがあったので、時間つぶしに立ち寄ってみる。そういえば小腹も空いた頃だし、何か食べておくか…。一番奥にあった世界一有名なハンバーガーチェーンの人形も手を合わせてワイのポーズをとっている。すぐ日本人は写真を撮りたがるそうだが、、、ところで、そのバンズのサイズは日本より少し大きめだったが、少しぱさぱさして飲み物なしでは辛い。最初はガラガラだった座席もいつしかいろんな集団で賑やかになっていた。
チェンマイ行きはTG便の便名が付いていたが、タイ・スマイルの呼称で運航されている。これはタイ国際航空のサブブランドの位置づけとのことで、主に短距離路線を担当する。使われる機材はA320で着席率はそう悪くなかったが、LCCと競合するのは明らかかだ。機内サービスも手を抜くようなことはなく、各席に配られた小さな袋には茶菓子とミネラルウォータが入っていた。CAのカジュアル対応も分相応といったところだろうか?1時間ほどでチェンマイへ到着、こじんまりとした空港でエアアジアやノックエアといったLCCの姿も見かける。さぁ、空港を後にして市内へと向かうことにしよう。
チェンマイはタイの北部に位置し、バンコクにつぐ第2の都市である。かつてのランナー王朝時代の中心地であり700年の歴史がる地方都市だ。タイ北部といえば山岳地方では様々な民族が独自の文化を育んできたことも魅力のひとつであるという、、、とまぁ、観光ガイドにはそんなことが書いてあるのだが、日本でいったら京都のような場所だろうか。まぁ、とにかく実際に行ってみないことには分からない。でも、数時間の滞在なのでどれまで分かるのかは疑問だが…。それはそうと、まず最初にワット・スアンドークというところに立ち寄る。基本中の基本だがタイは仏教国で国民の95%は仏教徒とも言われ、街中を歩いていても修行僧の姿をよく見かける。「ワット」はタイ語でお寺を意味し、地図を見れば主要なお寺がどこあるかはすぐに分かる。ワット・スアンドークは城壁に囲まれた旧市街の外にあり、歴史ある寺院のひとつとのことだ。大きな本堂の脇にある立派な仏塔は代々の王族の遺骨を納めたもので、遠目にも白と金色がとても美しく見える。本堂の中に入るとそこには大きな仏像が鎮座しており、これも500年も前に作られたものだという。どこもそうだが、同じ仏教といっても日本のお寺とは違って金色の煌びやかな装飾が強烈な印象を受ける。
続いて向かう場所はドイ・ステープ、どうもチェンマイへ来たからにはここを外すわけにはいかないらしい。ドイ・ステープは、標高は1080mのステープ山の山頂にある寺院で多くの人が訪れる場所だという。旧市街から車で40分ほど、ひたすら山道を登って行いく。入り口からはさらに階段かケーブルカーで上をめざす。寺院の中に入ると、金色の仏塔や、まばゆいばかりの仏像があり圧倒される。外国から来た観光客ばかりでなくタイの人たちも参拝にきてるわけで、本堂のまわりを歩きながら祈り続ける人も多くいた。聞きかじりだったが、生まれた日の曜日によって仏様が決まっていて、自分の曜日の仏像を拝むのだという。お寺の敷地の中には象の立像や見慣れない果実の木などもあり、詳しい解説が欲しいような気もした。ドイ・ステープは高い場所にあるのでチェンマイ市街市内が見渡せるとのことだったが、残念ながら今日は薄い霧に囲われていたため一望するはできなかった。
適当なところでドイ・ステープを切り上げ、再び旧市街へと戻って来た。残った時間であと1、2ヶ所はまわってみたいが、まずはワット・プラシンに向かう。ワット・プラシンはランナータイ様式のチェンマイで最大規模の寺院のひとつでチェンマイで最も格式の高いお寺らしい。ワット・プラシンの本堂の仏像もまたひときわ美しく、壁に描かれた風俗画もまた興味深い。ワット・プラシンをあとにする。
そして最後にワット・チェディ・ルアンへ立ち寄る。ワット・チェディ・ルアンも格式のある寺院のひとつに数えられる。このお寺のみどころは中心にある巨大な仏塔なのだが、16世紀の地震で上部が崩壊してしてしまった。その大きな仏塔の様子を外からみて見てまわり、周囲の建物を見学し、最後に本堂にある立像を拝観する。仏像の姿には圧倒されるばかりだったが、今日一日まわって、何となくタイの寺院のきらびやかさに慣れた感じだった。
もっと他にも見どころはあるに違いないはずだが、この程度で今日は切り上げることにした。何しろ不慣れな土地だったし、飛行機の時間も読めないところがあるので、余裕を持って行動しておくにこしたことはない。空港まで戻り、まずは帰りのTG便のフライト予定を確かめる。ここで何か起きても対処のしようがないのだが、特に支障なくバンコクへ戻れそうだ。空港の建物といってもとてもこじんまりしていて、別にこれといって目を引くものものなかった。セキュリティチェックを受けて、早々に中へ入ってしまおう。異国の地で、それも地方空港でこうやって飛行機の出発を待ってるなんて、何だか不思議な気分だ。そうこうしてるうちに搭乗案内が入り、行きと同様タイ・スマイルの機材へ乗り込む。
帰りもまたお菓子のサービスがあり、快適なフライトだった。スワンナプーム国際空港には定刻からわずかばかり遅れての到着だったが、気になるほどではない。今日はこのままバンコク市内へ向かい、しばらく滞在するホテルへ直行する。空港を出て駅へ向かい、電車を待ってるとちょうど18時になり国歌が流れる。周囲にならってじっと立った姿勢を保つ。エアポート・レール・リンクができたお陰でバンコク市内との移動が随分と楽になり、こうして高架鉄道から日暮れの景色を眺めて移動できるというのはありがたい。ちょっと乗り物に慣れておきたかったので、マッカサン駅で下車し、歩いてMRT(地下鉄)の乗り換えを試みる。マッカサンからMRTペッチャブリー駅までは少し距離があり、高架下の道をとぼとぼ歩いているとSRT(タイ国鉄)の列車がのんびりと通り過ぎていった。そうか、まだここも列車が走ってるんだ…。機関車に引かれる客車の姿というのも風情があっていいかな?何となく人の流れについて行くうちにペッチャブリー駅の入り口へ到着、今度は地下鉄に乗ってみる。
シーロム駅でMRTを降りて地上に出ると大きな交差点の上をBTS(スカイトレイン)の高架が通っていた。目の前に予約したおいたホテルがあり、ちょっとホッとした気になる。何か想像してたのよりかなりでかいな、、、あれ入口はどこだ?もっと奥か??「サワディカ~」フロントでのチェックインの対応もさわやか(余談:やっぱりホテルの第一印象で大事ですね。)あれこれやり取りしながらブッキング情報に問題ないことを確認、念押しで最終日のレイトチェックアウトのことも聞いておく。口コミ投稿をみながらあまり深く考えず予約を入れてしまったが、確かもっと高いホテルはいくらでもあったはず、、、う~ん、ホテルオークラ級というか、思ったより格上だったかな??エントランスの雰囲気といい、通路のお香の香りが落ち着く。窓からの眺めがちょっと残念だったが、部屋の設備もまったく問題なし、よかった今回も大当たりだった。バンコク観光は明日以降にして、ちょっとだけ周囲の様子を見ておくことにしよう。
3日目
明けて今日はバンコクに滞在してひと通り観光でもしてみようと思う。しつこいようだが、別にこれといったこだわりがあったわけでもなく、でも「なんで行かなかったの?」と後で言われるのも何なので、定番スポットを中心にまわってみることにした。今日はゆっくりと朝食を済ませ、まずは近くのサラデーン駅からBTSに乗って3駅先のサパーンタクシン駅へ向かう。王宮エリアをフリーに街歩きするにはチャオプラヤー川を利用して行き来するするのがいいらしく、ここからはチャオプラヤー・エクスプレス・ボートを利用してみる。もちろん観光以外の足であることも間違えないのだが、橋の下からみたチャオプラヤー川は多くの船が行き来していた。いやぁ、それにしても朝から強烈に暑いぞ…。
早速、エクスプレス・ボートに乗り込み、川沿いの風景に目をやる。吹き抜ける風が心地よい。エクスプレース・ボートには急行や特急などがあって、オレンジや青い旗が種別を表すのだが、各桟橋には駅番号のようなナンバリングがしてあり、また、車掌さん(?)らしき方がジャカジャカと小銭の入った筒を振りながら船内をまわってくるので、そこで料金を払えばいい。極めてシンプルな仕組みだし、渋滞知らずで料金も日本円で数十円程度と気兼ねなく利用できるのがよい。わずかばかりの船旅を終えター・チャーン桟橋で下船、薄暗いマーケットを抜け、少し広い通りをしばらく歩いていく。沿道の人々、古びたバス、バンコク名物のトゥクトゥク、いかにも東南アジアといった風景だ。強い日差しのもと、あてもなく歩いていてもぶっ倒れるだけなので、ワット・ポー見学へ向かうことにしよう。
ワット・ポーは別名涅槃寺と言われるように、大きな涅槃仏があることで有名で、多分バンコク観光の定番中の定番だと思う。まぁ、確かに巨人な涅槃仏は見ておきたい。見学料を払いチケットを購入すると、水の引換券が付いていたので、すかさず一気に飲み干す。そして、涅槃仏がある建物へ入るといきなり黄金に輝く顔が視界に飛び込む。いやぁ、やっぱりすごい大きい、、、全長40~50mはあろうお姿はさすがに圧巻だ。足の裏の方にまわり、真珠の装飾をみたあと、周囲にならって108ある鉢に硬貨を落としていく。多分煩悩を捨てるということなんだろう…。仏教徒でもない欧米人の観光客がポチポチと投げ込んでいたが、この感覚は日本人にも分かる。さぁ、ワット・ポー見学を続けよう。ワット・ポーで目を引くのはやはり巨大な仏塔、大きさはもちろん非常にカラフルな装飾は見る人の足を止める。
適当なところで切り上げて、ワット・プラケオに向かう。ワット・プラケオは王宮に隣接していて、ここもまたバンコク観光の一番の場所ともいえる。とにかく広い敷地はるでテーマパークのようで、平日だというのにチケットを求める人でとても混雑していた。炎天下で列に並ぶのは辛かったがどうにか購入し、ようやく境内へと入る。その先へ進んでみても、人、人、人、、、どこもまぁ多くの人でごった返していた。本尊に向かう途中にも黄金の仏塔やタイ様式の塔堂プラモンドップ、プラサート・プラ・テープビドーンといったクメール様式の尖塔などを見ることができる。そしてワット・プラケオの一番の見どころともいうべき本尊に安置された仏像はエメラルドブッダと呼ばれ、深緑色の輝きを放つ体は翡翠でできているという。その後、王宮内の建物を見てまわる。
ワット・プラケオを後にして、怪しいお土産屋が並ぶお守り市場を歩いて行く。小さな骨董品といえば聞こえがいいが、値打ちものなのか、ばったものなのかよく分からないものが店先に並んでいる。熱心に品定めしている人も少なくなかったが、本当に掘り出しものがあるのだろうか?さて、次はチャオプラヤー川の対岸にあるワット・アルンへ行ってみよう。ワット・アルンは暁の寺とも呼ばれ、チャオプラヤー川近くに佇む姿はバンコクらしい風景ともいえる。王宮エリア側からは渡し舟を利用していく。そのワット・アルンは中央の大きな仏塔を中心に4つの仏塔から囲まれており、巨大な仏塔に登ってみるとバンコク市内を一望することができる。
最高気温は40℃近くまで上がることもあるらしいのだが、さすがにこの状態では体力も消耗するというもの、適当なところでワット・アルンを切り上げよう。帰りも渡し船とエクスプレス・ボートを乗り継いでチャオプラヤー川を南下していく。まだまだ時間もあり、明日のことを考え、フアランポーン駅へ行って切符を買っておくことにする。BTSとMRTを乗り継いでフアランポーン駅に向かう。この駅の正式名称は別にあるようなのだが、英語表記だとBANGKOKとなり日本のガイドブックでもフアランポーンとかホアランポーンとか記されている。駅のつくりは重厚長大、歴史的風格漂うターミナル駅は首都の玄関口として申し分ない。日本なら上野駅といったところだろうか?高い屋根とずらっと並んだプラットフォームは荘厳な眺めである。ちなみにタイ国鉄の軌道幅は1メートルでぱっと見、日本の狭軌と見分けがつかない。ほぼ100%非電化で、列車は気動車かディーゼル機関車が客車を引っ張る形となる。とりあえず窓口へ行き、無事に明日の切符を買うことができたので、異国情緒漂う列車を眺めつつしばらく駅の中を見学していくことにした。
4日目
昨日はバンコク中心部を歩き回ったが、今日は日帰りで少し離れたところまで足を延ばしてみようと思う。そんなわけで目的地としたのはアユタヤ、バンコクから北におよそ80キロ行った場所にあり、タイの観光名所のひとつでもある。距離的にも時間的にも車で簡単に往復できるとあってツアーなども多く、船を使ったクルージングなんてのもあるらしい。しかし今回は少し鉄根性(?)を出して、列車を使ってみようと企んでいる。タイの鉄道は移動手段として決して評判のいいものではなく、遅れが常態化して時間の計算が立たない、車両などの設備がいまいち…など思いつく節がいくつかある。一方で運賃が安いことはひとつメリットでもあり、時間のことを気にしなければひとつの選択肢にもなり得る。まぁ、偏屈な乗り物好きとしては、その不便さが逆に魅力的だったりするのだが、かつて日本を走ってたブルートレインがJR車という種別の寝台車として活躍している…などと聞いてしまうと無性に乗りたくもなったりする。残念ながら今回はそこまで踏み込むことができなかったが、いつかは…という気持ちもなくはない。(苦笑)
朝の国歌はここで聞くしかないでしょう!ということで、8時前を目標にフアランポーン駅までやってきた。タイの公共施設などでは朝の8時と夕方6時に国歌が流され、外国人も含めそのば直立不動を保ち聞き入らなければならない。そしてその国歌斉唱を体験しホームへ向かう。10番線にはチェンマイ行きの表示が出ているものの、果たして時間通りに来るものか??珍しく定刻で出発した1本前の列車を見送り、目的の列車の入線を待つ。案の定10分以上遅れてやって来たかかと思うと、これから車体清掃が始まるのね♪さて、往路は特急列車を奮発、運賃は他種に比べ17倍超の345バーツ(!)、日本円で約2000円というのはかなりなものだ。座席も全席指定で冷房完備(実はこれが肝心?)飲み物と軽食のサービスが付くと言われれば聞こはいいが、日本のキハ58系を彷彿させる車両はやや年季ものでシートもくたびれている。まぁ、それでも他の列車と比べれば設備は段違いらしい。ちなみにこの列車の行き先はおととい行ってきたチェンマイで、片道12時間かけて走破する。(ただし時刻通りなら)
あえて時計を見ないようにしてたのではっきりしないが、程よく遅れて列車はフアランポーン駅を出発した。ホームを抜けしばらくはバラエティに富んだ客車の合間をぬっていく。動き出したはいいが、自転車にも抜かれそうな速さのままで、すぐまた停まってしまう。そんなことを繰り返しているのでなかなか先に進むことができない。入り乱れて発着する列車の進路をやり繰りするのと、車=踏み切りを優先するためにこんなことになってるらしい。沿線に目をやると、大都会のイメージとは異質の空間がそこにあり、いい悪いは別にして生活感のある光景についつい見入ってしまう。こりゃ計算立たないわけだ…と思いながらも徐々に列車は走れるようになってきた。そうこうしながらしばらくして、ちょっと大きな街に出てきたなと思うと、飛行機の姿が見える。列車はドンムアン空港のすぐ脇を通過してるようだ。ドンムアン空港といえば、スワンナプーム国際空港ができるまでバンコクの空の玄関だったが、市内からこんなに時間がかかるのか?スワンナプーム国際空港の方が距離があるのに…。
そのドンムアン空港を過ぎたあたりから、特急の名にふさわしい走りっぷりになってきた。車窓は郊外の風景へと変わり、列車は3線引かれた軌道の一番左端を快調に飛ばしていく。車掌が回ってきてチケットの検札を受けると「アユタヤまでですね?直前にまた案内しますよ」といった感じで声を掛けてもらう。車内放送はないようだし特急にはそういうサービスもあるんだろう。そういえば、そろそろかな?と思っていたところ、飲み物とミールのサービスを受ける。遠くに積乱雲が出てるようだが、今日、天気はもつだろうか?「次の駅がアユタヤですよ」アテンダントから声が掛かり降りる準備を始める。ミールのお菓子には手を付けられなかったので水だけ飲んで列車を降りることにした。
アユタヤ駅はなかなか雰囲気のある田舎の駅だった。列車を降りると一気に汗が噴出す。日帰りだし何しろこの暑さ…あまり遠くまで行動範囲を広げるつもりはないけど、とりあえず遺跡のひとつやふたつは見学しておきたい。しつこく言寄る輩を無視し、駅前通りの向こうにあるはずの渡し船を探す。ゆったりとした雰囲気の中、水草が流れる川を船で渡る。歩いて行くには少々辛いようなので、渡し船を降りたところでレンタサイクルを借りることにした。「ワット・マハタートに行くにはこのまままっすぐ西に進むといいよ」店員の言葉を信じ自転車を漕ぎ出す。アユタヤは川に囲まれた平坦な土地なので、暑いことを除けば自転車でまわるには都合がよかった。強い日差しの中、歴史公園の東端にあるワット・マハタートに到着、アユタヤ王朝期の寺院跡には、破壊された仏塔や仏像などが残っている。そしてアユタヤで一番有名であろう木の根に囲まれた仏頭のまわりには多くの人が集まっていた。かつて栄華を誇っていた場所もいまではすっかり荒廃し、遺跡として辛うじて姿を留めている。そんな風景を目の当たりにこうして歩いてみるというのも不思議なものだ。
続いてすぐ近くにあるワット・ラチャブラナへ寄ってみた。ワット・ラチャブラナもワット・マハタートと同様、クメール様式の寺院でビルマ軍によって破壊されてしまったという。その後、何となく歴史公園の中を進んでみたが、2度、3度と自転車のチェーンも外れたりしてモチベーションは下がり気味、猛烈な暑さもあって熱中症でぶっ倒れても不思議でない状況になってきたのでエレファントキャンプトまで来たところで折り返すことにする。さらに西の方へ行けば見てまわるところがあるのは分かっていたが、すっかり言うことを聞かなくなった自転車も明らかに足を引っ張っていた。行きと同様渡し船でアユタヤ駅まで戻ってきた。ふぅ~~それにしてもすごい暑さだ、、、食べるものと飲み物を適当に調達し、駅で小休止とする。さて、問題は帰りの列車だが、ダイヤはあてにならないのは周知の事実。駅構内にあるツーリストカウンターに行ってみると、あと3、40分で快速列車が来るようだ。タイミングを見計らって窓口でフアランポーンまでの切符を求めると20バーツ、、、って日本円で60円?行きの特急列車の345バーツというのはどういうこと??それにしてものんびりした感じで、こうして列車を待つのも悪くはないかも…。
列車は遅れを見込んで示さた時刻ちょうどにやってきた。ホーム間の通路は何も意味を成すことなく、みな一斉に手前の線路を越えて向こうの方へ向かう。6両ほど連結されたディーゼル車がホームに停車し、とりあえずどこでもいいので乗ってしまうと中では先の車両へ移動しろと促していた。列車はすぐに出発、薄暗く蒸し暑い車内に空いてる席はなく剥き出しの通路を伝って前の車両へと移動していく。3、4両移動したところで、ふと目が合ったおばさんに手招きされるように空いてる席へ着く。当然冷房はないが、スピードを出して走っていれば窓から風が入ってくるので、全くガマンならん…というほどでもない。ぽつぽつと外国人のツーリストの姿もあるが、周囲はタイの方々で埋め尽くされていて、通路を挟んだ隣りのボックスでは何やら家族で盛り上がっていた。こんな状態でも車内検札はちゃんとくるし、公認(?)なのか、そうでないのか分からないが、物売りの人も回ってくる。いやぁ~まさに"世界の車窓から"の中に身を置いた感じだ!
とりあえず列車は快調に飛ばしていたが、ふと気がつくと停車してる時間が長いことに気がつく。最初は時間調整でもしてるのかな?と思っていたが、急にエンジンを空ぶかししたり、バックして少し後ろに移動したりと少し様子がおかしい。乗務員や駅員が行ったり来たりし始め、でもアナウンスがあるでもなく時間ばかりが過ぎていく。まぁ急ぐ旅でもないし何しろここはタイ、イライラしても仕方がない。どこぞの国のように説明責任!なんて騒ぐ様子も全くない。そのうち後続の列車が追いついてしまい、そっちに乗り移る人も出てきたので自分も移動してみたが、人に確かめようにもどうしていいかさっぱり分からない。そっちはそっちで座れる余裕もなく、やっぱり元の列車に戻る。相変わらずエンジンを切ったり空ぶかしを繰り返していたが、この暑さでエンジンがオーバーヒートでも起こしたのであろうか?そうこうしてるうちに、どうやら出発できるようになったらしい。やがて列車は出発、しばらく走り続けていたが、数駅進んだところで今度は自分が乗ってる車両の床下から怪しい煙と異臭が漂ってきた。明らかに大丈夫じゃないない様子だったが、こんどはあっさりとエンジンに見切りをつけてしまい、後方車両のエンジンだけで運行を続けることとなった。確かに秒単位で正確にダイヤをこなすのも凄いことが、こんな過酷な状況下でも日常的に柔軟な運用をするのも凄いと思った。どうにかこうにか、バンコク近郊まで戻り、やがて徐行と停止を繰り返しながら終着のフアランポーン駅へと到着する。一時はどうなるものかと思ったが、日本では味わえない体験だったかも…。
5日目
昨日に続いて、今日もバンコクを少し離れてみようと思っている。目的はないといいながら唯一行ってみよう決めていたのがメークロンで、傘上げ市場と呼ばれる光景はTVや動画サイトでも紹介されることが多い。バンコクからも十分往復できそうだし、列車が通るときだけ線路が現れる様子はぜひ見たておきたい。今朝も早々に朝食を済ませ、最寄り駅からBTSに乗ってウォンウィエニンヤイ駅へ移動、少し離れた場所にある国鉄のウォンウィエニンヤイ駅まで歩いて向かう。確かに分かりづらい場所にあったが、前もって地図を頭に叩き込んでおいたので特に迷うこともなく15分くらいでたどりつく。人の往来は多いものの雑然とした様子は、ぱっと見、駅という雰囲気はない。ちょっと違うかもしれないが、日本で言ったら三ノ輪橋か恵美須町といったところだろうか?
思ったよりすんなり駅まで来れてしまったので、予定していた1本前の列車に乗ることができた。日本製のディーゼルカーはどこか見覚えのあるようなセミクロスシートで、空いてる席に座ると列車はすぐに出発する。ウォンウィエニンヤイ駅を走り出した後、しばらくしてから扉が閉まり、沿線には下町のような生活感漂う風景が続く。ひと昔前はどこもこんな感じだったらしいが、都会の顔をした現在のバンコクとはかなりギャップを感じる。路盤のコンディション決していいものではなく、時折列車は大きく揺れていた。朝の通勤時間帯のせいか、車内は徐々に混雑してくるので単なるローカル線というのとも違うらしい。メークロン線はターチン川を境に東西2路線に分割されており、どちらも他の路線との接続がまったくない飛び地路線で全線が単線、いま乗ってる東側はそれなりに本数もあり、途中、列車交換する風景も見られる。東線の終点マハーチャイまでの所要時間は1時間ほど、距離にして30キロくらいだと思うのだが、運賃は10バーツ、日本円で約30円とは、、、
車窓の景色に見とれてるうちにやがてマハーチャイ駅へと到着する。列車を降りるとそこはもう市場の真ん中、メークロンほどではないが線路の上を市場が覆っている。マハーチャイはターチン川に面した水辺の町で周囲一帯では水産物を扱うお店で賑わっており、人々の活気と魚の臭いで溢れかえっていた。さて、メークロン線の旅を続けるには渡し船でターチン川の向こう岸に渡らなければならないのだが、とりあえず駅を出て通りを右方向に進んでみよう。海外のまったく知らない土地で不安を覚えつつも、500メートルほど進んだところで渡し船の乗り場を見つける。3バーツを払い地元の人に混じって船に乗り込むと、船内は歩きの人とバイクがごっちゃになって混雑していた。
ターチン川を渡りバーンレーム側へ着いたものの、さて、この先どう行ったらいいのか見当がつかない。幸いにもバーンレーム駅を示す看板が目にとまり、住宅街のような中をとぼとぼと歩いていく。通り沿いには学校やお寺などもあるけど、本当にこの方向で合っているのだろうか?道は途絶え更に心細くなってきたが、狭い小道を進んでいくと線路に出くわす。右の方に目を向けると、、、停留中の車両があった。よかった、駅に着いた。う~ん、確かにここがバーンレーム駅のようだが、線路がなければただの民家の軒先にしか見えない。停まってる車両は停留されたままで動こうとする気配はないし、同じメークロン線でも東線に比べかなりのんびりしてる。こちらは日に4往復しかないけど…。直射日光を避けるようにして20分ほど待ち、予定ではそろそろ列車がやって来てもいい頃なのだが、一向にそんな気配は感じられない。そう、ここはタイ、こんなことくらいであせってはいけない。むせ返る程の暑さの中、屋根の下でじっとしてるだけでも汗が噴出してくる。佇む鶏を眺め、ボーっとしていると、ホームのような通路ようなところをバイク走りぬけていく。さらに40分以上待っただろうか、遠くで警笛の音を響かせながらようやく列車が近づいて来た。さぁ、これからメークロン線の後半、あの光景まであともう少しだ。
あまり日本では見かけない光景だが、折り返しの出発までの間にバッテリーの交換と給油がその場で行われていた。西線の列車も2両編成で、やはり日本製の車両らしい。ちなみにメークロン線の西側区間は全線がひとつの大きな閉塞区間で、途中列車交換もなく、そのためかかなりルーズな運行のようだった。やがて列車はバーンレーム駅を出発、ローカル感たっぷりな郊外をのんびりと走って行く。もちろん冷房はなく窓は全開、それなりに走っていれば風が吹き抜け心地よい。路盤の状態は相変わらずで、ゆっさゆっさとした揺れが続く。車窓はというと、住宅街もあれば田んぼや畑、原野のようなところもある。低地で水辺の場所も多く、広大な塩田が方々に見られ、そうかと思うとバナナの木が生い茂った森、マングローブ、水上ハウスといった熱帯らしい景色も見られる。今日も世界の車窓からに出てきそうな列車旅を満喫することになった。
やがて列車は最後のクライマックス、終着メークロンへと差し掛かる。人が歩くくらいのスピードまで落とされ警笛を鳴らしながらソロソロと進む。本当に列車ギリギリのところで傘が上げられていた。見物に来てる観光客も一斉にこちらへ向けてカメラを構えている。いやぁ、これは楽しい。そうこうして列車はメークロン駅へ到着、駅構内もやはりごちゃごちゃしたマーケットになっていて、独特の賑わいを見せていた。いま通ってきた線路に目を向けると既に何事もなかったかのように元の市場へと戻されている。さぁ、まずはそのマーケットでも探索してみよう。
2本のレールの間は人が歩く通路になっていた。いやぁ、それにしてもところ狭しと商品が並べられている。人の波は途絶えることなく、物を買う人と売る人で活気づいていた。本当にここを列車が通るのは俄かに信じがたいが、間もなく通過することが告げられると、あれよあれよという間に商品は片付けられ、最後に日よけの傘が上げられる。すると列車が近づいてきて、目と鼻の先スレスレのところを通り過ぎて行った。そしてまたあっという間に元の姿に戻っていく…。おお、映像で見たあの光景だよ!本当にいいものを見せてもらった。
しばらく市場の中を徘徊し、用もなくメークロン川の向こう岸にも渡ってみたりした。次にメークロン線の列車が来るのは4時間後だし、そもそもその時間も当てにならないので帰りは別の手段を考えてみることにしよう…。タイでは一般的なロトゥーという乗り合いバスを利用してみよう。バスと言ってもどこにでもありそうなワンボックスのワゴンで、人がそろったところですぐに出発となる。車内はちょっと狭い感じがしたが、運賃は80バーツ=240円ほどで明朗会計、面倒な交渉もなくお手軽、高速道路をバンバンすっ飛ばし2時間もかからずバンコクまで戻って来れてしまった。着いたのはビクトリーモニュメント近くのターミナルで、ロトゥーを乗りこなすことができれば行動の幅が広がりそうだ。と言っても、再びタイへ来る機会があるかどうか分からないが…。さて、思ったよりすんなり戻ってこれてしまったので、ビクトリーモニュメント駅からBTSで、ショッピングセンターに立ち寄ってみるか、、、そこはメークロンのような市場とも違った大都会の賑やかさがあった。
ひと通りお土産品などをあさってホテルまで戻ってきた。明日はバンコクを離れるのでここは引き払う予定でいる。少々名残惜しい気もするし、日が沈めば少しは気温も下がってくると期待してちょっとだけ外へ出てみることにした。何気なくチャオプラヤーエクスプレスに乗ってみると、ちょうどうまい具合に日没の時間となり、ワットアルンがライトアップされるところだった。その後、カオサンロードへ向かい、街歩きをしてみる。バックパッカーの集まるところとして、かつては東南アジア切っての怪しい場所だったらしいが、オープンテラスのバーやマッサージ店など、観光客の往来も多くあまり危険は感じられない。いかにもアジアの雑踏といった雰囲気の中、ビール片手にただ歩いているだけでも楽しい。さぁ、切りがなくなってきたので思い切って船で戻ることにするか…。
6日目
今日の予定はまったくなく、明日の移動のためにバンコク市内から空港近くの宿へ移動することしかやることはない。とはいえ、レイトチェックアウトも確定してるし、折角なので少しだけ外出してみることにした。おとといと同様、何となくフアランポーン駅に向かい、朝の国歌斉唱を見ておく。そして駅近くにあるワット・トライミット(黄金仏寺院)へ立ち寄り、黄金の仏像(ゴールデンブッダ)を見学する。その後も街歩きを続けチャイナタウンを少し歩いてみることにした。何があるわけでもない、そこには普段の生活の光景があるだけだったが、ただあてもなくひたすらぶらぶら歩きを続ける。インド人街らしきところの前を通り、しばらくするとチャオプラヤー川沿いのラーマ1世像のところへと出てきた。何時間も歩いたわけではなかったが、暑さで体力も消耗してきたしここらで引き上げることにしよう。
チャオプラヤー川を南下するのも恐らくこれで最後、オレンジフラッグの船に乗りBTSに乗り継ぐ。そうだ、すぐにシャワーも利用できるし、お昼は部屋食にするか、、、滞在中何回か通ったショッピングセンターで食料を調達しておく。明日のスコータイの予習なんかしてるうちにチェックアウト時間ギリギリになってしまった。名残惜しいが快適だったホテルを出発し、パヤータイ駅でBTSからエアポート・レール・リンクに乗り継ぎスワンナプーム国際空港へ向かう。今日と明日泊まるホテルへ送迎してもうらうためにわざわざ空港までやって来たのだが、人の食事を見てるうちに思わず食べたくなってしまい今日はここでちょっと早めの夕食とした。と、ここで満足してるわけにもいかないので、アポイント場所へ向かうといろいろなホテルの人がいてよく分からない。思い切って適当にたずねてみると、お互い声を掛け合いながら案内をしてくれた。そうこうしてどうにか無事に3番目の滞在地へ到着、ここも泊まるだけだったので安めの場所にしていたが思ったより悪くはない。ちょっと古めのアパートといった感じだがキッチンまで付いている。Wi-Fiもストレスなく使えるし、部屋の広さは申し分なく十分にくつろげそうだ。さぁ、明日もまた早起きしなければならないので、さっさと寝てしまうことにしよう。
7日目
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
バンコクエアウェイズ、スコータイ、ワット・プラ・パイ・ルアン、ワット・シー・チュム、ワット・マハタート、ワット・シー・サワイ、ワット・チャン・ロム、ワット・チェディ・チェット・テオ、ワット・スアン・ケオ・ウッタヤ・ヤイ、ワット・ナン・パヤ、ワット・プラ・シー・ラタナー・マハータート
バンコクエアウェイズ、スコータイ、ワット・プラ・パイ・ルアン、ワット・シー・チュム、ワット・マハタート、ワット・シー・サワイ、ワット・チャン・ロム、ワット・チェディ・チェット・テオ、ワット・スアン・ケオ・ウッタヤ・ヤイ、ワット・ナン・パヤ、ワット・プラ・シー・ラタナー・マハータート
明日は帰国するだけなので実質今日が最終日、チェンマイ同様、滞在期間が長めになった分を利用してワンデートリップを決め込む。準備期間が短かったので下調べが十分ではなかったが、今日もバンコクを離れてスコータイへ行ってみようと思う。スコータイはタイ最初の独立王朝が首都を構えた都市で、今日でも多くの遺跡が残されており、それらは世界遺産として登録されている。地理的にはバンコクとチェンマイの中間に位置し空路往復すれば日帰りも可能だが、効率よくまわりたかったのと、きちんとした解説も欲しかったので日本語ガイドつきのツアーを申し込んでおいた。それなりに費用はかかってしまうが、往復航空券も手配してもらえるし、それこそ田舎の真ん中で迷子になっても困るのでそこは割り切る。そんなわけで昨晩はスワンナプーム国際空港近くの場所に宿泊場所を移しておいた。
初日のチェンマイ同様、今朝もなぜか4時起きでの出発となる。時間は早かったものの空港までホテルの車で送迎してくれたので、そこは安心できる。スコータイにはバンコクエアウェイズで往復するのだが、実は乗り物好きとしては気になってた存在で、そこはまたあとでチェックすることにしよう。今日も十分早かったので、スワンナプーム国際空港に着いたときはまだ窓口は開いてなかった。1週間前のことを思い出しながらしばらく待ち、早速チェックイン手続きを行う。往復分発券してもらいセキュリティチェックを受けドメエリアへと進む。バンコクエアウェイズではエコノミーでもラウンジが利用できるサービスがあり、出発まで時間をつぶすには都合がよい。飲み物とミールサービスがあり、チケットの予約番号がWi-Fiのパスワードになっている。いやぁ、これだけでも好感度アップだなぁ~~
搭乗するPG211便はスワンナプーム国際空港を7時に出発し、スコータイ到着は8時20分頃を予定している。使用する機材はATR72という日本では馴染みのない機種で、そんなところに興味を覚えるようになった自分もどうかと思う。(苦笑)(後日談:その後、天草エアラインでATR42が就航することになりました。新しい機材に乗ったときの旅日誌はこちらをご覧ください。)ラウンジを後にして、朝日が差し込む待合室に向かうと徐々に人が集まりだしてきた。搭乗機まではバスでの移動で、鮮やかなカラーリングの機体には後方入り口から乗り込む。そういえば海外でプロペラ機に乗るのは初めてかな??PG211便は定刻で出発、南向きにエアボーンした後、北に進路を変えながらところどころ吹き上がる積乱雲の中を徐々に高度を上げていく。定員70名ほどの座席に空席は見当たらない。バンコクエアウェイズは、自称アジアのブティックエアラインというように、きめ細やかなサービスをウリとしてバンコク近郊のリゾート地を結ぶリージョナル・エアラインである。空港ラウンジもそうだが、短いフライトでも機内食を提供したり、その徹底したサービス振りはさすがだと思う。何かを記念して機内で抽選会なんかを行っていたようだが、こういうフライトは日本では味わえない。
PG211便は順調に飛行を続け、窓の外を見たりしてるうちにやがてスコータイに到着した。のどかな田園地帯にある空港は元は個人のものだったらしいが、バンコクエアウェイズが所有する私有空港だという。空港というとターミナルビルや駐機場があって…という光景が当たり前だと思っていたが、そういう当たり前のものが見当たらない。その代わりにバンガローみたいな建物や遺跡チックなモニュメントが立つ庭園があり、駐機エリアと思しきエリアには遊園地のアトラクションのようなカートが並んでる。搭乗機を降りて、そのカートで到着ロビーへと向かう。ロビーと言っても吹き抜けのオープンな建物があるだけで、まさにリゾート地といった雰囲気はかなり新鮮だ。
建物の外に出るとツアー会社の方がプラカードを持って待っていてくれた。声を掛けてみたところ、今日はもうひと組、予約が入っていて一緒に行動するとのこと。GW期間中だけあって、他の会社にも日本からの申し込みが普段より多いらしい。少し間を置いて同行される方と合流し、用意された車に乗り込む。空調の効いた車内で今日のスケジュールを確認、空港の敷地を抜け遺跡がある場所へと向かう。ここスコータイは、いまでは農業を中心とした素朴な田舎町ではあるが、世界遺産に登録された遺跡が数多くあり、見どころの多い場所である。1日の滞在なので時間は限られているが、午前中はスコータイ歴史公園の中を見学し、昼食を挟んで午後はシーサッチャナーライ歴史公園まで足を延ばす予定でいる。
空港から40分ほど移動し、スコータイ歴史公園へとやって来た。城壁に囲まれた旧市街地を中心にスコータイ王朝期の仏教寺院の遺跡が多く残っている。きれいに手入れされた水辺の場所で車を降りて最初にワット・プラ・パイ・ルアンへ向かう。スコータイでもっとも古いという寺院には、塔堂や仏像が遺跡の形で残されている。続いては見学したのはワット・シー・チュム、四角い建物の中にはアチャナ仏の姿を見ることができる。白い大仏様は大掛かりな修復がなされたそうだが、慈愛に満ちたその表情は見る人の心を捉えて離さない。地元の方からも厚い信仰を受けているという。
そして、スコータイの中心寺院であるワット・マハタートに向かう。王室寺院だったワット・マハタートはスコータイでもっとも規模も大きく、重要な寺院だったという。巨大な仏塔(チェディ)、礼拝堂らしき場所にある坐像はとても穏やかな表情、立派な立像、台座を囲む遊歩仏など、かつては栄華を誇った寺院もいまでは廃墟のような佇まい、、、こうして見てまわっていても飽きることはない。続いてトウモロコシのような形をしたクメール様式の塔堂のワット・シー・サワイ、池に囲まれた小島に浮かぶワット・サー・シーと順に見学していく。
ここまでスコータイ歴史公園にある遺跡を中心にまわり、午前中最後はラムカムヘン博物館に立ち寄る。中には興味深いものが数多く展示されており、時間の関係でさっと流す感じとなってしまったが、もっとじっくり見たいものだった。これで一旦スコータイ市街を離れ、1時間ほど移動し昼食へと向かう。車窓は田舎の田園風景が続き、あらためて遠くの場所へ来ていることを実感する。昼食の場所は屋外のこざっぱりしたビュフェで、昼から思わずシンハを注文、暑い中歩き続けた体に染み入る。いやぁ~何とも言えない満足感だこと…。(笑)
午後はシーサッチャナーライ歴史公園にある遺跡を見学していく。森の中、最初に立ち寄ったのはワット・チャン・ロム、スリランカ様式の仏塔には登ってみることができる。その台座部分の仏像は朽ち果てつつあり、周囲を囲む象の姿がとても印象的だ。そしてその隣にあるワット・チェディ・チェット・テオに向かう。数多くある仏塔は身分の高い人のお墓だそうだが、スコータイ様式の仏塔だけでなく様々な種類のものがもあるのも興味深い。この先はあまり観光客は立ち寄らないそうなのだが、折角だから歩きましょう…ということになり、森の奥へと進む。崩壊の進む寺院、ワット・スアン・ケオ・ウッタヤ・ヤイを抜け、ワット・ナン・パヤの中を見ていく。スリランカ様式の仏塔、保存された唐草模様が描かれた壁を見てここを離れることになった。
そして最後のワット・プラ・シー・ラタナー・マハータートへ、、、危ないから渡らない方がいいと言われた吊り橋を見てからワット・プラ・シー・ラタナー・マハータートへと向かう。例のトウモロコシ型したクメール様式の仏塔に登ってみたり、台座部分の仏像を見学して、これでスコータイの遺跡見学は終わりとなった。ふと周囲に目を向けると、普通に生活してる町中にあることが分かり、近くにあった寺院で休憩させてもらった後、シーサッチャナーライを離れる。
予定されていたスケジュールをこなし空港まで戻ってきた。最後にツアー会社の方は、帰りの便が出ることチェックインが入っていることを確認し、ここで解散となる。ちなみに主催会社はチェンマイから来られたとのことで、これから車で戻るのだとか…。帰りの便までまだ少し時間があるので、隣接した動物園を見たり、自転車を借りてみるのもいいでしょうとのことだったが、この暑さでは正直あまり気乗りしない。まぁ、やることがないのでちょっとだけ散策してみたが、地味に佇む動物たち、ちょっとお洒落なレストラン、アンコールワットのミニチュア模型といったものがあった。(蛇足:アンコールワットにはバンコクエアウェイズでシェムリアップまで行くのが定番ルートのひとつですが、いつかは行ってみたいものです。)例によって空港らしくない建物で出発手続きをしてセキュリティエリアへ入ると、中はまるで吹き抜けのレストラン、、、待合室全体がラウンジのようで飲み物もフリー、やっぱり空港にいるという実感がわかない。
帰りの便も同じATR72、例のカートに乗って搭乗機へ向かう。このままバンコクへ帰ってしまうのも惜しいものだ。PG214便は定刻よりやや遅れて出発、行きと同様ミールサービスがあり、抽選会も行われ、やがてスワンナプーム国際空港へと到着した。心配だったホテルのお迎えも昨日と同様、近くの人に声掛けして無事にピックアップしてもらう。さて、明日は早朝出発で帰国するだけになってしまったけど、ちょっとだけ探検しに行ってみるか…。通りに出て数分行ったところにあるショッピングモールへ、、、といっても小さな店舗が集まったところで、いくつかあるお店の中から賑わってそうなところに入ってみる。ファミレスのようなつくりのお店ではバイトっぽい若い店員さんがキビキビと動きまわり、そう高級なものではないがメニューは豊富、値段もリーズナブルで写真入りで英語表記もあり、簡単に指差し注文できたのもありがたかった。今日一日を振返り、下町チックな場所で地元の人に混じりながらいただく夕食も悪くはないか…。もう手元に現金を残しても仕方ないので、コンビニで最後のシンハビールでも買って帰るとしよう。
8日目
長丁場だと思ってた1週間も過ぎてしまえばあっという間だった。帰りに予約した便もタイ国際航空のA380で、行きと同様Cクラスの優雅な空の旅を決め込む。そのTG676便は出発が7時と早い時間のため、この旅3回目の4時起きでの空港入りとなってしまった。出発までの間、様子見兼ねてTGのラウンジで過ごす。マレーシア、シンガポールに続き3ヶ所目、、、ビジネスクラスとはいえそこはフラッグ・キャリアのラウンジ、確かにいろんな人がいるもんだ…。さて、搭乗機に向かうとしよう。(後日談:その後、ひょんなことでこのラウンジ利用する機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
薄暗い通路を抜けた先のガラス張りのピアは広々としてとても開放感がある。搭乗口付近では早朝にもかかわらず多くの人でごった返していた。一度にこれだけの人が乗れちゃうなんて、さすがA380、既に外では搭乗機がスタンバっている。特に遅れもなく優先搭乗の案内が入り、早々に機内へ乗り込む。実はチケット購入時に座席確定をしていたつもりがキャンセルされてしまい、行きは通路側で若干落ち着かない席だったが、帰りは翼の上の窓際席でこれならゆったり過ごせそうだ。ウエルカムドリンクはやっぱりシャンパン♪ドアクローズまで30分程待たされるのも国際線らしいところ、そんな時間もまぁいいもの…。そうこうしてるうちにTG676便は無事にスワンナプーム国際空港を出発、帰国の途へと着いた。午前の出発だったので、食事は朝食と昼食の2回で、どちらも軽めのメニューが準備されていた。帰りも行きと同じような航路をたどると思っていたが、台湾付近でちょっと蛇行しつつ、その後は沖縄上空を通過し一路成田を目指すことになった。映画を見たり、PCをいじったりしてるうちに6時間が過ぎ、やがて成田へとアプローチ。一旦旋回してA滑走路には南向きにタッチダウン。1週間の逃避行は本当にあっけなく終わってしまった。