■旅日誌
[2016/5] インド再訪、ムンバイ~アブダビ
(記:2016/8/27 改:2021/7/4)
(記:2016/8/27 改:2021/7/4)
曜日の並びの関係で今年のGWは10連休となりました。去年からちょっと大きなプロジェクトに携わることになり悶々としていたところ、久しぶりのまとまった休みとれたので、ちょっと無理して遠出することにしました。行先はおよそ10年振りのインドとなぜか去年に引き続きUAEのアブダビ、エティハド航空のA380に乗ることにします。ちなみにチケットの関係で途中香港、バンコク経由にしたので、8レグ乗りっぱなしの旅となりました。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
※下線部をクリックすると写真が表示されます
1日目
仕事の都合で、はまなす惜別乗車、北海道新幹線初乗と、2回連続してお出掛けをキャンセルという憂き目に遭い、その反動でかハードスケジュールで遠出することになった。というわけで、兎にも角にも日本を脱出するぞ!という一念でまずはバンコク往復を押さえて、さらに続いてかなり濃い目のチケットを手配…。相変わらず計画の立て方が滅茶苦茶だったが、いろいろ比較して(で、何をだ?)とりあえずキャセイで香港経由になった。GWとはいえ出発便がいくつか選べたので、多少余裕をもって成田発10時45分を予約、前回の北京行きとほぼ同時刻だったので、そのときと同じNEXで空港第二ビルへ向かう。チェックインした後、早々に出国手続きを済ませ、CXラウンジへ向かう。もちろんここに入るのも初めて、こじんまりとしたところだったが、エアライン単独で構えている。空の上に出ればすぐに食事が待っているのでここは軽く、、、と言いつつ、誘惑に負けて泡の飲み物に手を出してしまった。
さぁ、この旅最初のフライトはCX501便、使い込まれたB773は2-2-2配列でちょっと残念な感じの機材だろうか。まぁ、この先もいろいろあるだろうから、あまり気にしない。目立った遅れもなく無事に出発、実は初CXだったりするのだがアジア系のエアラインはどこか落着く感じか。しばらくは本州南岸沿いを西に進み、そのうち昼食が始まる。前菜から始まり、メインも普通に美味しくあっという間に平らげデザートのフルーツとアイスクリームへ。隣の席の男性からシートマップが表示されないね、、、なんて話しかけられたが、自分も離陸直後から気になっいた。映画を1本見終わり間もなくすると香港へ向けて降下を開始、およそ4時間のフライトはあっけなく終わってしまった。
バンコクには翌日の朝までに着いていればよかったのだが、香港の乗り継ぎも余裕を持たせていた。特にやることもなく、空港内を散策、しばらく歩き回ったあとCXのブリッジのラウンジでまったり乗り継ぎ待ち時間を過ごすことにした。喰って飲んで、また喰って飲んで、もう一度くらい喰って飲んでして、このまま順調に行けば今夜中にバンコクに到着する。その後は弾丸よろしくスワンナプームから早朝出発、、、って、徹夜じゃないか。のっけからそんなに飛ばして大丈夫か考えても仕方ないので、とりあえずテンションを上げて勢いに任せる。(苦笑)日もすっかり暮れて、出発時刻が近づき次のバンコク行きCX617便へ向かう。
ピアの先っぽの搭乗口からだったので搭乗機の姿が確認できなかったが、乗り込んでみてどうも違和感を感じる。ウェルカムドリンクはやっぱりシャンパン!斜めに配置された座席で出発を待っていると、「あら、日本からの乗り継ぎ?遠いところお疲れさま!」なんて調子よく話しかけてくれたりと、フレンドリーな応対に心和む。やがて出発時間となり、アジアンチックなディナーをいただき、デザートを平らげたところでしばらくぼーっと過ごしているうちに、気が付けばもうそろそろ降下を開始するところだった。ベルト着用サインが点灯され、先ほどの愛想のいいCAさんが再び挨拶に来ると、「今日はね、4発機に機種変更になったのよ!珍しいでしょ♪」って意表を突かれた感じでさらに会話が弾む。そうか、A340に機材変更されたのか…。よくこちらの素性を見抜いたものだと関心してしまったが、どうやら珍しがって座席の写真を撮ってる様子をみてたようだ。CXに限らず不人気な4発機はリサイクルの運命が待っているというが、退役が進む中、中長距離用の機材が突然この路線に入ったのでCAさんもおや?と感じてたらしい。とにかく、A340なんて狙ってみないと乗れないし、不思議な巡り合わせはとても貴重な機会になった。
2日目
そんなわけで、順当にスワンナプームに到着、イミグレではどこに乗り継ぎだ?なんて質問を受けたが、荷物を受け取り一旦入国することに…。さて、時刻はというと日付が変わったばかり、、、中途半端な空き時間は空港内で過ごすことにしよう。チェックインカウンターが開くまでの間、雑踏の中しばらくPCと睨めっこしていたが、ベンチに横になって2時間ほど横になる。チェックイン開始と同時に手続きを済ませ、指定されたKLMのラウンジでさらに1時間ほど仮眠、次はジェットエアウェイズへ乗り継ぎだ。こんどのムンバイ行きは小ぶりのB737-800、早速乗り込むと偶然にも先ほど乗ってきたCXのA340が隣に止まってる。すらっとした姿を、こうして間近に眺められたのはちょっとラッキーだったかもしれない。
ジェットエアウェイズは比較的新しいインドのエアラインで評判も悪くないという。小さな機材だったのでC席と言えど座席はあまり期待できなかったが、カジュアルな雰囲気で、定刻にバンコクを出発。朝食を軽く済ませ、短い間ではあったが残りを睡眠時間にあてる。さてと、ムンバイまでは約4時間のフライト、さぁいよいよというか、10年ぶりのインドだ。降下開始のアナウンスが入ると窓の外には美しい山間の景色が続く。やがて都会の様相へと変わってくるともう間もなく着陸となるのだが、空港近くのスラム街の様子には何とも考えさせられるものがある。そうこうして無事にムンバイへと到着した。(後日談:好調と思われたジェットエアウェイズですが、残念ながらその後経営破断することになってしまいました。)
インドは日本人もビザが必要ないまどき珍しい国なのだが、安倍さん、モディさんが仲良くなったおかげでつい最近アライバルビザが復活、今回はそいつが利用できることになった。実はインドのビザ取得はとても面倒なことで有名だったのでこれは朗報、ムンバイの空港でも「日本人はこちら」と案内が出ていたが、いざイミグレに向かうとやっぱりインド流…。思いもよらない便で突然謎の日本人が迷い込んだと見えて、入れ替わり立ち替わりですったもんだが始まる。担当の人間を連れて来るから待て!から始まり、いざやってきた担当者は手順をあまり理解してなかったとみえて、奥へ戻って何度も聞きに行ってるし、ビザ発行に必要なお金を両替するために方々に連絡を取ったりと、予想通りの流れはこちらの期待を裏切ることはない。(苦笑)いい加減待って現れた両替担当者ときたら「何だお前インドルピー持ってないのか?持ってりゃ、こんなスタンプ、ポンポンポンのポンだぜ!」なんて、書類を指して微妙な冗談を飛ばしてくる。おいおいインドルピーを国外に持ち出せないルールにしてるのは、あんたの国じゃないか!とか、訳のわからん会話を楽しみ(?)ようやく2時間経って入国の運びとなった。ああ、10年ぶりのインド、他愛もないやり取りも妙に懐かしかったりして…。心配だった荷物は隅の方に追いやられ、ちょこんと持ち主の到着を待ちわびていた。
何とか入国してこんどは移動手段がない中、ぼったくりの怖い人たちを掻き分け、びくびくしながらプリペイドタクシーを探して町中へ向かう。信用していいのか、悪いのか、ポーターを名乗る男について行き、車に乗り込み空港を後にした。しばらく走り、外に目を向けると、、、いやぁ、この風景、遠い記憶が徐々によみがえってくる。いい悪いではなく、普段日本人が目にすることのない格差社会がそこにはあった。すると「シーリンクを通らないか?90ルピーだ」とドライバーが言ってくる。最初は何を言ってるかよく分からなかったが、海上橋の高速道路を通れば、渋滞を避けて時間短縮になるという。別に90ルピーをケチるわけではないが、急ぐ旅でもないし、普段なら立ち入れない怖そうなところを通ることになるので、そのまま下道を進むよう伝えた。ちょっと残念そうなリアクションだったが、ところどころ渋滞に巻き込まれつつも、最初ドライバーがシーリンク経由で掛かると言ってた時間よりも短い時間でホテルに到着。ほらね、こんなもんでしょ!と心の中でつぶやく。噂では聞いていたが、ホテルの入り口は物々しい雰囲気で、促されるように車を降ろされ、ドライバーに声を掛ける間もなくエントランスへと向かうことになった。
ちなみに今回は、折角なので奮発してタージマハルパレスに泊まることにしていた。ホテル自体がムンバイのランドマークで、2008年のテロのときはとても驚いたが、建物に入る前には厳重なセキュリティチェックがある。フロントには立ち寄らず荷物は一旦ポーターが預かり、ここからはサリーを身にまとった女性の案内で奥へと進む。途中、グランドフロアの案内を受けながら別室に入ると、魔除けに…と言って眉間に赤い粉(ヒンディ)を付けてもらい、幸運の印に…ということでレイのようなを首にかけてもらった。ウェルカムドリンクのオーダーを聞きにきて、ようやくここでチェックイン手続きが始まる。プロモーションプライスの部屋だったので別館タワーの方へ案内されると思っていたら、何と今日はハーバービューの本館の部屋へアップグレードしましょうということに、、、いやぁ凄いおもてなしだ。今度はやや若いポータに引き継がれ、用意された部屋に向かうのだが本館はまるで映画の中にいるよう、、、いざ部屋の中へ入ると、これまた豪華だがどこか品がある雰囲気がとてもよい。出窓になったテラスから外に目をやるとアラビア海の眺望とインド門が…。う~ん、自分がこんな場所に本当にいいのか、不思議な気分になってしまった。
成田を経ってから随分長い道のりだったが、昼過ぎにはフリーになったので、ムンバイの街歩きへ向かう、、、といっても、気温は39℃だとか。まず手始めに、インド門を見ておこう。人が集まる観光地ということもあって、荷物チェックを受けてから広場を進むと、記念写真を撮らないか?という凄まじい売り込み合戦が始まる。ここは明日も来るし、頑として無視を決め込み、軽く周囲を見回した程度で適当にスルーしておく。ムンバイの街並みはどこかイギリス統治の名残を残してるとも言われ、適当に歩きながらチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅(CST)へ向かう。ここは駅自体が世界遺産だそうで、確かに荘厳な姿は圧巻!行き交う人々を掻き分け、中に入ってみるとターミナル駅らしい雰囲気が何ともいい感じだ。いくつもある頭端式ホームには近郊電車が数分おきに出入りしており、またとない機会と思ってここは思い切って乗ってみることにした。インドの電車に改札口はなく、車掌もいるのかいないのか分からないとは聞いていたが、日本円にして10円、20円程度なので出札口で切符を購入しておく。Sは各駅でFは快速ということらしく、行先は分からないが、女性車両でないことだけ確認して、まぁいいやと思って適当に乗り込んでみた。
朝夕のラッシュ時ではなかったのでそれ程ではなかったが、車内はそこそこ混雑しており、ドアは開けっぱなし、暑いのと混雑してるのとで、風通しのよいドア付近にみんなへばりついていた。そんな感じで駅では列車が完全に止まる前に降りる人と乗る人が入り乱れ、ドアが閉まらないからといってニュースになる国とは比較にならないほど事情が違うことを実感する。沿線のごちゃごちゃとした様子や長距離列車らしき車両に目を奪われながら先へ進み、乗り換え駅のダダー駅で一旦電車を降りて、しばらく行き交う列車を眺めたあと、マハラクシュミ駅へ向かう。ここに立ち寄ったのは、巨大洗濯場と言われるドービーガートを一目見たかったため。時間が時間だったので人の姿はあまりなかったが、遠くの近代的な建造物とスラム街のような光景とのギャップは凄まじいものがある。確かにカースト制度のような露骨な差別はなくなったと言われているが、これが格差の現実で複雑なものを感じる。下に降りると危ないと聞いていたので、あまり長居せずに立ち去ろることにしたが、やせ細った野良犬としつこく言い寄る子供の物売りもまたインドを感じさせる。
念のため切符を買ってから再び列車に乗り込み、今度はチャーチゲート駅へ向かうことにした。数駅程度だったが「世界の車窓から」を生で実感し、ムンバイの街歩きを再開する。日も傾き始めたが、相変わらず気温は高い。わずか半日ばかりだったが、結構見てまわれただろうか。軽めの夕食に…と、世界的に有名なコーヒーチェーン店でもよかったが、折角なので地元っぽいお店に挑戦してみるか。食って飲んでを繰り返していたので、結局、軽めのハイティーメニューを選択、スパイスの効いたマサラチャイが一日の締めにちょうどよかったようだった。
3日目
明けてムンバイ2日目、外を見ると朝日がインド門を照らしている。朝食はもちろん、本館のシーラウンジでいただくことに。優雅にアフタヌーンティーをするために、ここを訪れる人もいるというのもうなずける。席に着くなりさっとチャイがサーブされ、再び10年前のことを思い出す。普段なら何も考えずコーヒーを選択しているところだが、あのときもこうして毎朝チャイを頼んでいたっけ…。(苦笑)朝食はいわゆるコンチネンタルスタイルのビュッフェだが、なぜだろうこの優雅さは!さりげなくシェフがあいさつ回りにきたりと、どこか一味違う。チェックアウト時もさりげなく「どうでしたか?」と声掛けされたが「とても快適でした、ありがとうございました」と答えるのが精いっぱいだった。ダメだな、もっと気の利いたフレーズを用意しておかなければ…。何もかもがそんな風で、一晩でチェックアウトするのがちょっともったいなかったが、普段とはあまり縁のない世界を垣間見た一晩だった。
さて、今日は比較的近くにある世界遺産のエレファンタ島へ行ってみることにしている。島までは片道1時間ほど、インド門の裏手に船の乗り場がある。港にはかなりの数の船が停泊していて、次の便も間もなく出航するところだった。10ルピー追加して上階の吹き抜け席へ向かい、強い日差しを避けるようにする。やがて船は出発、朝早い時間だったので、停泊してるほかの船に何回も立ち寄っていく。海から見るインド門とタージマハルパレスホテルの眺めもまた格別だと聞いていたが、なるほどこれは思わず写真を撮りたくなる。海は穏やかだが、お世辞にも綺麗だとは言えなかった。
自転車のようなスピードで船は進み、まったりした時間を過ごしてるうちにエレファンタ島へ到着。周囲の流れに沿ってミニトレインに乗り込む。ガタゴトガタゴトと揺られ桟橋を通り過ぎて、列車を降りてさらに島の中を先へ進む。入島税を払ってチップ式のトイレに立ち寄っておく。ブルーシートで覆われた物売りのお店が続く階段はまるで参道のようだったが、結構な距離を上ったところで石窟群の入り口へと到着。インドの観光地ではよくあることだが、ここも外国人価格が設定されていた。まずは一番手前にある第1窟を見学、薄暗い洞窟の中に入ると多くの石窟が目に飛び込んできた。踊る姿や様々な表情をした彫刻に石柱、そした一番の見どころはヒンドゥー教のシヴァ神。正直なところ保存状態は決していいとは言えなかったが、解説しようと言い寄るガイドも多くいて、ちょっと煩わしかっただろうか。一通り見てまわったあと、一応、第2窟以降にも行ってみたが、放置されっぱなしで残念な印象を受ける。さらに奥の方にも行ってみたが、ここまで足を運ぶ人の姿は少なく、道の脇に野生の猿がいるくらいで、石窟どころかゴミ捨て場のようなところもあった。期待するとがっかりすると聞いてたので、まぁこんなものかな?と思い適当なところで切り上げることにする。
歩いて船着き場まで戻ると、人が集まるのを待ってるのでしばらく時間がかかると近くにいた人が教えてくれた。12時を少し回ったところでパラパラと人が集まり出し、帰りの船が出航する。相変わらずのんびりとしたペースだったが、1時間強で港まで戻ってきた。さて、まだ時間があるのでお昼にすることにしよう。インド門を離れ適当にお店を探して本場インドのターリーを堪能。ワンプレートの定食と言うか、わんこそばみたいに小皿にカレーを補充してくれるシステム(?)で、ロティとライスもどんどん出してくれる。わりと軽めのベジということもあって食も進み、お店の人も調子よくここぞとばかりに盛ってくれるし、気が付けば食いに食いまくってしまった。(苦笑)そうそう、日本人は思いっきり誤解しているが、インドでナンはあまり見かけることはなく、右手でロティをちぎって食べるのが正しい作法。両替したルピーを残しても仕方ないので、食後にマンゴーラッシーを追加注文、日本でまともなラッシーを口にすることはないので、ありがたく平らげる。最後に出てきたフィンガーボウルとアフターミントを見て、再び10年前のことを懐かしく思い出した。
思わず食べ過ぎたので、食後の運動を兼ねて、街歩き途中見かけた博物館(チャトラパティ・シヴァージー・マハーラージ・ヴァツ・サングラハラヤ)に立ち寄ることにした。手入れの行き届いた庭園を通り歴史を感じさせる建物に入る。中央ホールを通って石刻レリーフや石彫を見学、細密画のコレクションを見てまわる。さぁっと見てまわったつもりだったが、気が付けば思ったより時間が過ぎていた。名残惜しくなってきたが、そろそろ切り上げるないといけない。再び歩いてインド門までたどり着き、これで最後と…もう一度ホテルを外から眺めた後、朝チェックアウト時に預けておいた荷物を受け取りに行く。一旦、トイレに立ち寄ってみると洗面台のところにはスタッフが立っていた。う~ん、流石だ。フロントに戻り、預けておいた荷物を受け取ると、笑顔が素敵なベテランポーターが「ドライバーを呼んでくるから、ロビーで座って待っててね♪」と意外なセリフが返ってきた。何も頼んでないのに、凄い連携だなぁ。
ところで、なぜ今回はムンバイかというと、エティハド航空のA380に乗ることが目的だったりする。去年のGWにはついに憧れのエミレーツを利用したが、欲は尽きないものでこの5月からアブダビ-ムンバイ間にA380が就航するというニュースを聞きつけスケジュールを模索、敷居が高かったEYのA380だったが、思わぬところで手が届きそうだったので今回は勢いに任せて乗ることにした。そして、さすがエティハド航空、ビジネスクラス以上の上級顧客にはリムジンサービスがもれなくついてくるというので、ホテルまでピックアップを予約しておいた。そして時間通り17時にドライバーが到着すると、先程のポーターが再びやって来てスーツケースを車のところまで運んでもらう。それにしても南インドの人は、みな人当たりがよく、声掛けのタイミングも絶妙でほとほと感心させられるばかりだった。空港までは高級セダンでもちろんVIP待遇、時折、渋滞に遭遇したが、荒っぽい運転が横行する中、制服に帽子姿の品のいい初老のドライバーに運転は任せておけばよい。「どこから来た?仕事か、オフか?」なんて程度の会話しかしなかったが、黙っていてもシーリンクを経由していく。無事に空港へ到着、ちっちゃな液晶端末にサインをしてお礼を告げる。
インドの空港はどこも物々しく、建物に入るときにパスポートとチケットの確認が行われ、セキュリティチェックを受けて一旦中に入るともう外には出られない。10年前の古い空港での経験に比べればそんなでもなかったが、正しい手順で確実にスタンプを押してもらわないと先へ進むことはできない。搭乗券を発券してもらい、あらためて手荷物検査とセキュリティチェックを受けてようやく出国手続きまで進む。ふぅ~ここまで来れば一安心、一応、職場へのお土産を手に入れてラウンジへと向かう。ここの空港のラウンジも立派だと聞いていたが、なるほど…と納得する。何度か「東京行きか?」と巡回するスタッフに声を掛けられたが、「ふん、違うんだぜ!」と心に中でどこか優越感のようなものを感じていた。さぁ、そろそろいい時間になってきたので搭乗機の方へと向うとしよう。
そして今回のメインは、エティハド航空のA380!早速、機内に乗り込み独特の内装でずらっと並んだ座席を見るだけでテンションが上がってくる。ウェルカムドリンクをいただきながら、就航地や提携エアラインを紹介する動画を見てるだけで旅心をくすぐる。さて、いよいよ出発、A380のゆったりしたエアボーンでムンバイを後にする。程なくして食事の時間となり、いかにもという内容に舌鼓を打つ。いやぁ、満足、満足、、、などと悦に入るうちに3時間強のフライトも終盤、極上時間はホントにあっという間だった。無事にアブダビ国際空港へ到着、一体どこまで?というくらいダラダラとタキシングしていく。入国手続きを済ませ、この先どうしていいのか分からなかったのでとりあえず到着ラウンジに立ち寄ることにした。少し待たされたが、リムジンサービスの場所を教えてもらい、一旦外へ出る。その後も、どこへ行けばいいのかよく分からず、色んな人に聞きながらようやく乗り場へたどりつく。まぁ、リムジンサービスを予約しておいたおかげで、日付が変わった時間にも関わらず安心してホテルへたどりつくことができた。(余談:別のところでA380に乗ったときの旅日誌はこちらをご覧ください。KE・SQ・TG・EK・OZ・CZ・QR・MH)
4日目
本当に弾丸するならアブダビ0泊という手もあったのだが、体力的にもそこまで無理するのもどうかな?と思ってアブダビで2、3日過ごすことにしていた。あまり意識しないで決めたホテルはレジデンスタイプのもので、部屋にこもっても生活できてしまいそうだったが、もったいないので外に出ることに…。といっても、アブダビはちょうど1年前に来たばかりで、シェイクザイードグランドモスクも行ってきたし、フェラーリワールドも興味ないし、まぁいいやと思ってドバイを往復しておくことにした。その1年前とは逆にアルワダモール近くのバス停からドバイへ向かう。2時間ほどでアルグバイバへ着いたものの、さて、どうしたものかと思ったが、とりあえず去年行きそびれていたスパイクスークとゴールドスークまで足を延ばしすことにした。
まさか1年後へここに来るとは思ってもみなかったが、いやぁドバイも相変わらず暑った。「ちょっと待って、ちょっと待って、お兄さん♪」陽気な店員に捕まりそうになりながらオールドスークを抜けて行く。ドバイクリークからアブラに乗り込み、数分の船旅で対岸へ渡る。簡素なつくりのアトラクションみたいな船だったが、こういうのも意外と楽しいものだったりする。アブラを降りて少し遠回りしながらスパイクスークを探す。きょろきょろしながら怪しい匂いの漂うスパイススークを通り抜け、続いてゴールドスークへと向かった。ゴールドスーク>もまた多くの観光客で賑わっていたが、よくもまぁこんなにも金ぴかなお店があること。もちろん、何か購入することが目的ではなかったので、適当なところで切り上げる。炎天下の中のスーク巡りはこの辺にして、適当なところで切り上げる、、、と、その前にそうだなぁ、ドバイメトロに乗っておくか。(余談:ドバイの様子は1年前の旅日誌をご覧ください。)
結局、ドバイモールへ行ってひと回りしながらお昼を済ませ、もう一度ドバイメトロでアルグバイバへと戻って来た。帰りのバスはちょっと新しい感じがしたが、あたりが暗くなる頃にはアブダビへ到着。手持ちのキャッシュが乏しくなってきたが、アルワダモールで夕食の材料を調達し使い切ってしまうことにした。これでアブダビの生活はおしまい、1年ぶりのUAEだったがインドとのギャップもまた違う意味で考えさせられるものがあった。(余談:その後、オマーンを訪れる機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
5日目
昨日と同じように朝食の場所へ向かうと「お前はここではない」となぜか断られた。指定されたの隣の入り口へ向かうと、再び戻れという。おかしな?と思いつつ戻ってくると、どうやら中国人と間違えてそちらの会場を案内しまったらしく、バツが悪そうに何度も謝ってきた。話には聞いていたが、本当にこういうことってあるんだ…。帰りも空港送迎のリムジンサービスを申し込んでおいたので、チェックアウトを待ち構えるようにドライバーさんが控えていた。裕福なお国なので道路も走ってる車もピッカピカ、ちなみにアウディのセダンだったが140キロで砂漠の中のハイウェイ(一般道だったかも)をガンガン飛ばしていく。ムンバイ同様ドライバーとは、どこから来てこれからどこへ行く…みたいな話をしたが、デリーへ行くと告げると、なんだそれならオレの故郷じゃないかと返事が返ってきた。
アブダビからの帰りも刻んで刻んでいくのだが、折角なのでムンバイ経由ではなくデリー経由でバンコクへ戻ることにしていた。空港へ到着し中へ入ると「エティハドか?カウンターを案内しよう」と声掛けしてもらう。「何だお前、日本人か。確かホリデーシーズンじゃないか?」おお、よくご存じで…。バンコクまで通しでチェックインを済ませ、プライオリティレーンでさっと出国手続きを終えてラウンジへ向かう。拡張工事が進むバブリーな空港のラウンジで時間をつぶし、ユニークなデザインの第一ターミナルの方へ移動する。狭い搭乗口はインド人でいっぱい、ここでも10年前のことを思い出したが、いきなり一人だけで放り出されてとても心細い思いをしていたことを考えると、変な飛行機に自分から進んで乗りまくってるなんて、変われば変わるものかなと、我ながら感心してしまう。ちょっと古めの小さい機材だったが、再びエティハドのサービスを受ける。
アブダビからデリーまではおよそ3時間弱、昼間のフライトだったので、離陸後しばらくは砂漠の上を飛んで行くのがよく分かった。いやぁ、それにしても禁酒明けの食事が旨かったこと…。(苦笑)快適であるほど時間が過ぎるのが早いとはよく言ったもので、一度体験しちゃうとやはりクセになる。このまま帰国できればどんなに楽なことか…と考えてしまうが、いえいえそれはそれ、デリーでは降機後、入国せずバンコク行きに乗り継ぐ。セキュリティチェックは厳重で、ラウンジのインビテーションカードを受け取っていなかったので「交渉」が必要となったが、まぁ、これも経験。なかなか出発ゲートのアナウンスがなかったので落ち着かなかったが、出発時刻が近づき搭乗口へ向かう。インディラ・ガンディー国際空港もまた立派できらびやかな空港だった。さて、再びジェットエアウェイズのB738で一晩過ごすことに、、、オンタイムでの出発だ。真夜中のフライトではあったが、Cクラスらしいサービスとディナーをしっかりいただいて、朝までひと眠りしておこう。
6日目
バンコクには定刻で到着、今回準備した2枚のチケットはここで区切りとなるので、何かあっちゃいけないと思って乗り継ぎには長めの時間をとっておいた。結果的には順調に来れてしまったので、逆に7~8時間くらい時間をもてあそぶことになってしまったが、まぁ、遅れや欠航で放り出されるよりはマシだろう。解放されたのは早朝5時を少しまわったところ、数日前に過ごしたのとまったく同じベンチで一息つくことに…。特に予定は考えていなかったが、とりあえず前回バンコクに来たときに行ったことのない場所ということで、プラカノンの市場と運河へ足を延ばすことにした。
通勤通学で混雑するエアポート・レール・リンクからBTSへ乗り継ぎ、プラカノン駅で下車。ここまで来るとバンコクの大都会からはちょっと雰囲気が変わる。通りから一本路地を入ると生活感漂う市場が続く。風情ある場所を抜け目的の運河へと到着、ここから船に乗って運河を往復するのもまた一興、、、だったが、深追いし過ぎるとまずいかも思い、船着き場からあたりを眺めるくらいにして、乗船するのは自重しておく。ちょうどひと駅分歩き、帰りはお隣のオンヌット駅からBTSに乗車。エアポート・レール・リンクでスワンナブーム国際空港へ戻って来た。
帰りも香港乗り継ぎにしたのは計算済みのことで、2晩続けて機内拍は避けたかったので、香港で一泊することにしている。とりあえず香港まででチェックインを済ませ、数日前と同じプライオリティレーンを抜けてラウンジへ向かう。バンコクのCXラウンジは最近リニューアルされたとのことで、確かに"ホーム"以外の場所でエアライン単独で持つにしては立派なものだった。お昼がわりには、、、そう、ソムタムにシンハ・ビールの組み合わせがタイっぽくてGood!いつもいつも思うのだが、食べ過ぎちゃいけないと最初は心に決めるものの、やっぱり我慢しきれずついついヌードルを追加でオーダー。食欲には勝てないか。(苦笑)
出発時刻が近づき搭乗口へ向かい、出発準備の様子を見ながらもうしばらく待つことにした。これから乗るCX654便もB777-200、優先搭乗で乗り込みウェルカムドリンクをいただきながら隣に目を向けると、ジェットエアウェイズの機材が停まっていた。プッシュバック後、タキシング途中にカタール航空のA380の姿が確認できたが、いつかは乗ってみたいものだ。(後日談:その後、意外とすぐあとにQRに乗る機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)数時間の滞在でバンコクを出発、ベルト着用サインが消えてやがてランチへ。軽くビールと前菜をいただいて、メインは久しぶりのご飯料理を選択。そして最後の締めはやっぱりアイス。それほど時間が掛かるわけではないので、あとは横になって一休みしてるうちに最終アプローチのアナウンスが入った。
2時間半ほどのフライトでCX654便はほぼ定刻で香港へ到着した。特に用事があるわけでもなかったので、空港のトランジットホテルでもよかったのだが、信じられないほど高額なため、一旦入国して市内で適当なところで体を休めることにする。といっても手ごろなところ探すのがこれまた結構大変なことで、運よく見つけたところは場所、コスパともに上々、もし次香港に宿泊するようなことがあれば、ここは候補にしてもいいかな??
7日目
朝6時にチェックアウトして、ホテルを経由する免費巴士(無料シャトルバス)から機場快線(エアポートエクスプレス)に乗り継ぎ、今回は九龍駅でサクッとインタウン・チェックイン。早朝ということもあり1時間で入国まで済んでしまった。香港ももう何度目か分からないが、慣れとは怖いもの、まるで国内にいるかのよう気分だ。次はLCCで週末弾丸というのもアリだろうか。
さて、締めに(?)キャセイのラウンジで優雅に朝食をいただいて、いよいよこの旅最後の便で成田へ向かう。名残惜しくなってきたが、チャイナエアラインのB747や特別塗装機などを見ながら搭乗口へ向かう。(後日談:その後、CIのB747に乗る機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)CX520便の出発予定はオンタイム、帰りの機材はヘリンボーン式の座席だったがこれまた快適、最後の食事も十分味わいながら堪能する。日本に帰るんだという安堵感と、これで終わってしまうという焦燥感が気持ちの中で葛藤しているのを感じながら時間は過ぎていった。そうこうして、ちょうどスターウォーズEP7を見終わったところで成田へ向けて降下開始、3時間半のフライトは本当にあっという間に終焉を迎える。結局、7日間で8レグ乗りっぱなしというハードスケジュールだったが、どれもCクラスで3~4時間のフライトだったので、まったく苦にはなることはなかった。さぁ、普段の生活に戻るのが怖いかも…。毎度ながら、これには困ったもんだ。