■旅日誌
[2013/3] 南ぬ島石垣空港~黒島
(記:2013/5/5)
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石垣空港移転後、思い切って新しい空港を利用してみることにしました。何もあわくって行くこともない気もしますが、年が明けてから結構しんどい状況が続いていたのでガマンできずにお出掛けです。折角の石垣でしたが、週末を使っての1泊2日で2日目には黒島まで足を延ばしてきました。帰りにはちょっと珍しい飛行機に遭遇しています。
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 1日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
南ぬ島石垣空港、川平湾、平久保崎、玉取崎展望台、バンナ岳展望台
つい先日も岩国空港が開港するということで、性懲りもなく開港初日に出掛けてしまったが、今回もまた新空港の訪問が目的となってしまった。地元からは、長年の悲願だとか、一方では自然破壊につながるとか、何かと注目が集まる中、この3月に開港を迎えた新石垣空港には南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港という愛称が付けられている。石垣島といえば、八重山の中心であり、沖縄を代表する観光地のひとつである。ひと括りに沖縄と言っても本島からさらに西に400キロ行ったところにあり、文字通り日本の最西端、その先をさらに100キロも行けばもう台湾、、、実際、羽田からの直行便は国内で一番距離のある定期路線なわけで、3時間半も飛行機に乗っていれば海外にでも行くような気分になるものだ。
日本トランスオーシャン航空・JTA71便・石垣行き
石垣便の羽田出発は早朝6時25分なので、始発に乗ってもギリギリで間に合うかどうか、微妙なタイミングだった。自宅から自分の車を走らせるという手もあるのだが、ちょっと楽したいので前泊することにした。ところが、忙しさにかまけてボヤボヤしてるうちにどこも予約はいっぱいになってしまい、少々あせりを感じてたところ蒲田駅近くで宿を確保、ラッキーなことに車で空港まで送迎してくれるという。一応、仕事の方はお昼上がりにしておいて、午後はどうしても外せない打合せだけ出ることにした。今年は大雪に見舞われたかと思えば、一気に気温が上がり目まぐるしいばかりだったが、まだ3月だというのに既に桜は満開、出先からの帰り道で中央線沿いの外堀を歩きながらプチ花見をしておく。その後、東急渋谷駅の地上駅跡を見学してから一旦帰宅、身支度だけ整えて出発することとなった。
新石垣空港
翌朝、空港に着いてから夜が明け、早朝のJTA便に乗り込む。石垣行きJTA71便はほぼ満席、オンタイムで羽田を出発した。富士山を右手に眺めながら本州に別れを告げ、南に進路をとる。前線の影響で天気はいまひとつぱっとしなかったが、沖縄本島上空を通過し徐々に高度を落とていく。宮古島を越え、時折雲間からエメラルドグリーンの海が見えるようになると石垣島はもう近い。一旦、島の南側に回りこみ市街を越えて新空港へとアプローチする。長い道のりの末、JTA71便は無事新石垣空港へ到着した。降機後、搭乗口に向かう通路は開放的で、ピカピカの建物はいかにも南の島という雰囲気がしている。なかなかいい感じじゃないの??
川平湾
まずは予約していたレンタカーの送迎車で移動、一見のどかな農村風景も本土のとはまた少し違っている。どこを走ってるのかよく分からないが、そんな景色を眺めてると遠くまできたな…とを実感する。車を受け取り、とりあえず市街の方へと向かうことにしよう。愛想はよくなかったが、格安店ならこんなものかと納得する。港が近くなると何となく見覚えのある風景となり、2度目ながら妙な懐かしさを覚える。今日もまたこの先どこに行くか全く決めてなかったので少し車を止め、地図などを眺めてみる。だからといって特に決め手があったわけでもなく、前回同様、時計回りにぐるっと島を一周してみることにした。まず最初に川平湾へ向かう。前回ここへ来たときは天気が悪く、ほとんど何もしないまま立ち去ってしまったが、今日は天気も良好、石垣らしい海辺の景色を堪能する。ちょうどお昼どきだったので、行きの飛行機でもらったガイドブックに載ってたお店に入ってみる。ソーキそばには魚の出汁のきいたスープ、太目の丸い麺、ごろっとした骨付き肉、いやぁテンションあがるなぁ~。さすがに本土とは違い気温も高く少し歩いただけで汗ばむ陽気で、そのガイドブックのお陰でサービスされたアイスコーヒーを飲みながら空調の効いた室内でひと息つく。
平久保崎
すみません、シャッターお願いしま~す♪毎度のことなので驚かないが、もうしばらく静かな湾内を散策して、川平湾をあとにした。海沿いの県道を北上し、途中野底マーペーを見ながら平久保崎を目指す。確か前回ここへ来たときは風も強くのんびりするような気分になれなかったが、今日は天気も穏やかで、地元の方の話しを聞きながらしばらくボーっとする余裕もあった。石垣最北の地、を離れ、再び南下し玉取崎展望台に立ち寄ってみる。ここも2度目の訪問になるが、石垣島景勝地のひとつで、多くの人が訪れる場所でもある。団体、個人問わず案内役がつくと「某疑惑で引退した有名人のお店がそこにあります」と解説されるのが面白かった。
玉取崎展望台
とりあえず石垣島の海沿いをまわり新石垣空港まで戻って来たが、空港に用はないので素通りし、車を返す前にパンナ岳まで行ってみることにした。市街の中心部からそれほど離れた場所でもなく、車なら山道も苦ではないので、最後の締めとしよう。市街を抜けてしばらく坂道を登ったところにパンナ岳展望台がある。すぐ目の前には市街が一望できて、海の先は先島諸島の島なみもみることができる。久しぶりの離島だったが、普段の忙しさを忘れて清々することができた。おっ、そうだ、最後の最後、まだ取り壊し前の旧石垣空港を見ておこうか。さて、車を返したら、もうひとつの楽しみ食事でも出掛けることにするか…。そうだなぁ~定番のやつもそうだけど、泡盛に合いそうな海のものなんてどうだろう??妄想は膨らむばかりだった。
パンナ岳展望台
 2日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
八重山観光フェリー、黒島、JTA616(SWALジェット)
折角石垣島まで来たことだし、時間の許す限り別の場所にも足を延ばしてみようと思う。と、意気込んでみたものの、天気予報によると今日は一日中大荒れになるという。昨日90%だった降水確率は今朝の時点で50%まで落ちていたが、数字だけみると気が滅入ってしまうので見なかったことにする。帰りの便から逆算して、午前中いっぱいなら丸々時間が使えそうなので、比較的近いところで黒島へ行ってみることにした。前回八重山をまわったとき、唯一寄ることができなかったのが黒島で、ちょうどいい機会かな?と考えてみる。朝一の高速船石垣を発ち、次の便で戻ってくると3時間近く滞在できるので、時間的にも好都合だ。早々に朝食を済ませ、8時には離島ターミナルへ到着し、下調べした時刻が正しいか確認しておく。昨日と同様、例のガイドブックのお陰での運賃が割引になり、まずは往復分のチケットを購入する。
八重山観光フェリー・ちゅらさん号
朝の離島ターミナルは各島へ向かう船が頻繁に出入りしていた。こんどの黒島へ向かう高速船は八重山観光のちゅらさん号で、既に準備を終えて乗客が乗り込んで来るのを待っている。船は8時定刻に出発、仕事関係の方が大半を占め、あとは地元の方と観光客といったところだろうか?石垣港を抜け、右手に竹富島を見ながら船は快調に飛ばしていく。最初のうちは波もなく穏やかだったが、途中からうねりを感じるようになり、西表島へ向かう別の高速船が、大きく上下に船体を揺らしながら、ばっしゃばっしゃと波を掻き分け追い抜いていくのが見えた。天気が悪ければこんなもんじゃ済まないと思うけど、慣れないせいもあってあまりいい心地はしない。まぁそれでも、この状態が長く続くわけでもないし、もともと船酔いするたちでもないので、気がつけば黒島に到着する頃になっていた。
黒島
黒島は周囲12キロほどの平坦な島で上空から見るとハートの形をしている。人口は約200人で、島内のほとんどが牧場として開拓され人間の15倍くらいのがいることでも有名だ。島の西側南側にはきれいな海岸がありウミガメが産卵にやってくるという。黒島到着後、レンタサイクルで島めぐりをしてみようと思う。手続きをしながら黒島についてざっと説明をしてもらう。「どこから来なさった?今日は天気もいいし自転車でゆっくりまわるにはちょうどいいさ~♪」天気予報よりも島の方の言うことが正しく聞こえてくるから不思議だ。そんなわけで、いつものように晴れ男振りを発揮することになった。早速、自転車を走らせ、牛のセリ場の前を通過し南の方へと向かう。離島らしい離島にやってきたのも本当に久しぶりだった。
黒島
先程聞いてきた黒島研究所に立ち寄ってみたが人の気配がまったくなかったので素通りする。ウミガメが見られるそうなのだが、ちょっと残念…。続いて宮里海岸の入口にあるかつての監視台だったプズマリを見て仲本海岸へと向かう。やはりハイシーズンではないので、人の気配はまったくない。さらに放牧地の中を灯台へ向かって走り続けるのだが、いやぁ~それにしてもこの置いてけぼり感が何ともたまらない。(苦笑)島の南端に位置する灯台は意外と小さく、その先に広がる海の広さは例えようがない。ここからの中心部に戻る感じで東筋の集落へ向かおう。広大な放牧地の中に牧場がいくつか点在しているのだが、ここから灯台に通じる一本道はとても絵になっている。集落を抜け西に通じる県道は日本の道100選にも選ばれ、八重山の景観そのものといった感じだった。黒島展望台でひと休みすることにして、もうしばらく黒島の景色を堪能することにした。
黒島
その後、伊古桟橋に立ち寄り、引き潮で干上がった遠浅の海をしばらく眺めたあと、再び島内を突っ切り西へと向かう。それにしても、ゆったりした時間を過ごす島の牛たちは「のんびりいこうよ」とでも話しかけるようだ。そして最後に西の浜まで行ってみる。やがて舗装道路は途絶え、藪のような中を抜けると美しい砂浜が目の前に広がる。南国青い海とその向こうの島影を見ながらしばらく散策しておく。他にやって来る人もなく、まるでプライベートビーチのようだ。そうこうしてるうちに帰りの船の時間が近づいてきたので、静かな余韻に浸りつつ戻ることにした。黒島は観光地でも何でもないので、来る前は3時間をどう過ごすか少し考えてしまったが、のんびりしてるだけであっという間に過ぎてしまったようだ。
黒島
帰りの船を待っていると、雨がザーッと降ってきた。2、3分もしたら止んでしまったが、どうやらこれから天気予報が当たりそうな予感がする。島の方々に小さく見送られ、30分ほどで石垣まで戻って来た。時折、通り雨が降るようになってきたので、バスターミナル近くでお昼を済ませ、早めに空港まで行ってしまうことにしよう。新空港へ向かう路線バスに乗り込み、白保のあたりを移動している途中、物凄い雨に見舞われ、やや不安になってくる。とりあえず空港には到着したものの、風も強く石垣周辺は悪天候のため一時飛行機の離着陸が見合わされているという。多少不安は覚えたもの、しばらくしてるうちに予約した前の便が40分ほど遅れて到着するとのアナウンスが入った。搭乗予定の便もいまのところ遅れるという案内は出てないし、どうやら欠航は免れたようだ。
ジンベエジェット・SWALジェット
建物外の展望台で待っていると、激しい雷雨の中、見慣れぬペイントの機体が降りてきた。おお、これがジンベエジェットか、、、おっと、ここで見とれていてはいけない。(余談:このジンベエジェットですが、去年岡山から沖縄まで乗った機材でした。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)セキュリティエリアに入り、先程やって来たジンベエジェットを眺めていると、その後ろを見慣れぬ派手なカラーの機体がスーッと横切る。あら、もしやあれは?!行きの飛行機で機内誌を見てたときは、実物が見れたらいいな…と思っていたが、間違えないそいつがSWALジェットだ。遅れが出たことで逆に運よく新空港でのツーショットが拝めたわけで、、、いやいやいや、そのSWALジェットにこれから乗るんじゃないの?!狙ってできることでもないし、相変わらずの自分の引きのよさには感謝しなければならない。
SWALジェット
SWALジェットはかつて南西航空と呼ばれていた時代のカラーリングを復刻したもので、旧石垣空港が閉鎖される日の最終便としても華を添えたという。なかなか感動的な演出のようだったが、この姿に思いを馳せる人も少なくないはずだ。ワンポイントで鶴丸と日本トランスオーシャン航空(JTA)のロゴが小さく描かれてるものの、かつての姿が忠実に再現されていている。南西航空を知らない世代でも鮮やかなオレンジ色はとても新鮮に見えるはずだ。このSWALジェットは、今後5年くらい運用されるとのことで、通常のJTA便にも入るので、沖縄以外でも、東京や大阪、福岡あたりなら見れるチャンスは十分あるようだ。今回は何となく沖縄を経由で帰ることにしていたが、地元沖縄で実物を見れたのは本島にラッキーだったと思う。そして何より実際に乗れたということでより印象に残るものになった。偶然にもこの日はANAのモヒカンジェットも那覇に飛来していたが、最後羽田便に乗り込む際、あらためてその姿を目に焼き付けておく。今日は天候の影響で迂回ルートをとるとのことだったが、雲海の上を行きながら自然とこの2日間を振返っていた。
JTA616便の機内の様子