■旅日誌
[2011/8] 復活!!C61
(記:2011/10/22)
(記:2011/10/22)
JR東日本で新たにもう1両SLが復活することになりました。群馬県伊勢崎市の公園で静態保存されていたC61形20号機が37年ぶりに息を吹き返し、群馬デスティネーションキャンペーンに合わせるように営業運転が開始されました。この日は高崎-水上間で運行されましたましたが、D51 498号機と豪華共演とのことで、久しぶりにSLの姿を見に行くことにしました。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
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日帰り
JR東日本ではD51とC57の2両のSLを保有している。C57はばんえつ物語号として週末を中心にかなり頻繁に走っており、一方のD51は高崎を拠点に信越線や上越線でイベント列車を引くことが多い。ときには真岡鉄道のC11や秩父鉄道のC58が借り出されることもあるのだが、JR東日本管内だけでもSLに対するニーズは高く3両目のSLを探していたという。特にD51が不調で長期戦線離脱したときの影響は大きく、本腰を入れて候補を絞り込んでいたらしい。そんな中、群馬県伊勢崎市の公園に静態保存されていたC61に白羽の矢が立ち、いよいよ復活することとなった。C61という型の機関車はそれ程多く製造されたわけではないが、D51のボイラを再利用していることや、C57と系統が近いこと、また思いのほかいい状態で保存されていたことなどが決め手となったようだ。とはいえ長い間風雨にさらされていたのだからそう簡単に復元することはできない。ドキュメンタリー映画が製作されたりと注目される中、この6月に営業運転を開始することになった。
運よくこの日は、往路、復路ともに都合のいい列車がとれたので、日帰りで2つのSLに乗ってみることにしている。具体的には、まずD51が引くSLみなかみ1号で高崎から水上へ行き、SLみなかみ2号として折り返していく姿を見送ったあと、続いてSLレトロみなかみ3号としてやって来るC61を待ち構え、そのC61が引くSLレトロみなかみ4号に乗って高崎に戻る段取りとなる。もちろん、水上駅名物(?)の転車台での方向転換も見学の段取りには入れてある。ちなみに帰りのSLレトロみなかみ4号では旧客にも乗れるというおまけつきだ。偶然かもしれないが、往路復路ともに進行方向窓側で、さらには行きと帰りで海側、山側と違った席になっていた。いつも10時打ちして貴重な指定をゲットしてくれる某駅の窓口には感謝、感謝!だ。
普段の日よりもずっと早い時間に家を出て、上野から高崎線の普通列車で高崎へと向かう。体は正直なもので日々の疲れがどっと出た格好で予想通り泥眠、気がつけばもう間もなく高崎というところだった。駅に着いてホームを移動してみると遠くで煙を吐きながらD51が控えているのが見える。時折ぱらっと雨が降る中、D51が6両の客車を牽引して入線してきた。噴出す蒸気と黒い煙に包まれ走る姿は相変わらず圧巻である。先頭に立つD51 498号機はあっという間に多くの人に取り囲まれ、ホームはごった返していた。
高崎から水上まではEL&SL奥利根号でSLに乗った経験があるが、久々の乗車となる。多くのギャラリーに見送られSLみなかみ号は水上へ向けて出発した。先頭に立つ蒸気機関車もそうだが、最近では客車に乗る機会もめっきり減ってしまったように思う。補機なしのSLのみの牽引なので、カクンカクンという独特の加速感が全身に伝わってくる。沿線にも相変わらず多くの人の姿があり、SLの人気ぶりがうかがえる。黒煙と石炭の残り香を残しながらSLみなかみ号は力強く奥利根路を進んでいった。まだお昼には時間があったが、朝から何も食べてなかったせいもあり先ほど高崎で買ってきたお弁当に手をつけることにしよう。
高崎駅のホームではD51弁当とC61弁当の2種類が売られていた。それぞれのSLの写真入った厚めの掛紙の中は、SLのボイラーを連想させる黒い容器となっており、「D51 498」あるいは「C61 20」の文字の入ったお箸まで付いてくる。最近のエコブームを反映してかマイ"箸"を持つ人もいるが、これなら持ち歩くこともできそうだ。さすが、たかべんさんらしいこだわりを感じる。2種類買っても仕方ないので、とりあえずC61弁当を購入、外見だけでなく中の食材や調理方法もまた工夫の跡がみられる。たかが駅弁というなかれ、旅を演出する重要アイテムだな~などと勝手に納得しながらあっという間の完食…。(笑)列車は比較的ゆっくりとしたペースで進み、途中、渋川駅と沼田駅で小休止すると、再び撮影タイムとなり、これまた記念撮影する人でごった返すことになった。天気はあまりよくなかったが、それでも大きく崩れることなくなんとか持ち越えそうだ。のどかな田園風景と遠くの山々、そして利根川の姿が車窓を楽しませてくれる。そんなのんびりした汽車旅も悪くない。そうこうしてるうちに水上へと到着した。おや、誰だろう?はっきり誰とは分からなかったが、女性タレント2名が向かいのホームで旅番組の撮影をやってるようだ。
改札を出たあと、すぐに機回しの見学に向かうことにした。既に機関車は列車から切り離され折り返しの引込み線へ移動している。前回に比べターンテーブルのまわりも見学しやすいようにきれいに整備されていた。D51 498号機が転車台の上に乗せられ、180度反転したのち、逆向きで1回転させられた。その後、もう一度入れ替えを行ってとなりの引込み線で折り返しに向けて整備されることとなった。駅前まで戻り、軽く昼食を済ませ、線路沿いに少し歩いたところで高崎へ戻っていくSLみなかみ2号を見送ることにした。やはり走るSLの姿はどうしても見ておきたい。そしていよいよ今度はC61の番となる。遠くで汽笛の音が聞こえ始め、こちらに向かって近づいてくるのが分かった。D51とは違う音色が印象的だ。定刻より若干遅れ気味だっただろうか、SLレトロみなかみ3号が目の前を通過、C61に引かれる旧客もなかなか絵になっている。う~ん、渋いなぁ~~。(笑)おっと、のんびりしてられない、、、ターンテーブルのところまで急がなければ…。
さて、D51に続き、あらためてここでC61の機回しの様子を見学しておくことにしよう。C61 20号機が転車台に乗せられ、先程同様、半回転したあと逆向きに1回転する。ターンテーブルによる方向転換というのもそうそう見られるものではないが、大型のSLだけあってなかなか迫力があっていい。再び隣の引込み線へ移動し、水と石炭が補給される。距離も近いので熱気が直に伝わり、巨大な機械であるもののまるで生き物のようにも思えてくる。最後にもう一度、駅の向こうまで移動し、入れ替えのため単機回送されるC61 20号機を見ておくことにした。さぁ、帰りはこのC61が引く旧客に乗って高崎まで連れてってもらうんだな、、、早足で水上駅まで戻り、SLレトロみなかみ4号の出発を待つことにした。
SLレトロみなかみ4号は定刻で水上駅を出発、低くやや重い感じの汽笛が周囲の山々に鳴り響き、そして列車はゆっくりと動き出した。見た目の古めかしさはもちろん、エアサスの効いたいまどきの電車とは違った揺れ、どこか哀愁を帯びた汽笛の音、天井には丸型の蛍光灯と扇風機、旧客の車内もまたレトロ感に満ちていた。冷房がないこともあり、時折窓を開けて外の空気を入れたりするものの、トンネルに入る度に窓を閉めなければならない。半分面白がってるむきもないわけではないが、あたりに漂う石炭のにおいがまた何とも言えない。同じボックスに座ってたご年配の方も、ビール片手に懐かしくていいね!を盛んに連発していたが、この感覚は実際乗ってみないと分からない。何というか、普段あまりにも無機質なものに囲まれすぎていて、こうしているだけでどこか贅沢な時間を過ごしているようにも思えてきた。