■旅日誌
[2011/5] うるわしの里、癒しの道
(記:2011/6/26)
(記:2011/6/26)
今年のGWは曜日の並びにも恵まれ10連休でしたが、始めの方と終わりの方で5日間仕事でした。まったく予定を立てずにGWに突入してしまったのもここ数年ないことでしたが、中盤の3日間を使って奈良の室生寺と長谷寺を訪れた後、紀伊半島を南下し熊野詣をしてきました。途中、日本一の路線バスと言われてる十津川特急を利用しています。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
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1日目
つい10日ほど前にも名古屋へ行ったばかりだったが、今回も新幹線で名古屋へ向かうことになった。ただ前回と違うのは、名古屋は素通りして近鉄に乗り継いで先を目指すことにしている。とりあえず今日の目的地は2ヶ所、名張を経由して宇陀に入り室生寺と長谷寺に寄ってみようと思う。どうやら今回も、知らず知らずのうちにプチ・マイブームとなっているパワースポットめぐりになりそうだ。朝7時をまわったところで新横浜からのぞみに乗車、名古屋まではおよそ1時間20分ほどで着いてしまう。今日も黄砂が影響していたのだろうか、さほど天気は悪くないものの富士山の姿はかすんでぼんやりとしか見えなかった。
新幹線を降りたあと、そのまま近鉄の改札口へ直行する。9時前のこの時間は特急券を求める人で長い列が出来ていたが、運よくそう待たずに乗れそうな指定を入手、賢島行きの特急に乗り込む。名古屋を出発し地上に出たあともしばらくはJR線と併走し、先日利用したあおなみ線の電車も見える。やがて列車は木曽川、揖斐川を渡り、この頃になると車窓の様子も田園風景に変わる。三重県に入り桑名に停車、四日市、津といった大きな街を通り過ぎ伊勢中川で一旦列車を降りることになった。名古屋からここまでちょうど1時間、待ち時間なく向かいのホームに待機していた大阪上本町行きの特急に乗り換える。ノンストップの列車でなくても、特急券1枚で乗り継ぎできるのはとても便利だ。さすが近鉄、このあたりは日本一の私鉄の名に相応しいサービスとも言える。
2本目の特急に乗ってたのはさらに短く30分程だった。青山高原を貫くトンネル群を過ぎて名張で下車、最後に急行電車に乗り継ぐ。3つ目の室生口大駅野が室生寺の最寄駅となる。山間ののどか駅ではあるが、有名なお寺の玄関口ということもあってか駅前広場はちょっとしたバスターミナルになっていた。駅員の案内に促され、いま降りてきた人たちのほとんどが室生寺行きのバスへと向かう。やはりGWとあって、普段以上の人出らしい。程よく混んできたところで1台目が出発、その後も2台目が続くようだった。小さな川に沿うようにしてバスは山道を進み、4、5キロ行ったところが折り返しの停留所になっていた。緑に囲まれた雰囲気がなかなかいい。室生寺へ行くにはさらにこの先まで進み、赤い太鼓橋を渡るようにとのことだ。
室生寺の別称は女人高野、女性の参詣が許されていたためこの名がついたという。あまり詳しくは覚えてないが、創建されたのは1200~1300年前くらい前だったと思う。伽藍は山岳寺院の様式で、歴史ある五重塔で有名な古刹でもある。早速、中と歩みを進める。最初の石段である鎧坂を登り切ると正面にあるのが国宝の金堂で、今日は特別に中が公開されているとのことだ。貴重な機会なので参拝していくと、本尊の釈迦如来立像を中心に十一面観音立像や菩薩像が横一列に並んでいた。実際に足を運んでみて本物を目の前にすると、やはり不思議な気持ちになってくる。ここまで来たかいがあったな…。さらに石段を登り奥の院を目指す。相変わらずの運動不足に息が上がってきた。ようやく奥の院へ到達、木々の合間から覗く景色を見ながらしばし休憩をとる。ひと息ついたあとここで折り返し、最後にもう少し時間をかけて五重塔を見学していくことにした。
室生寺の参詣を済ませたところでちょうど正午になっていたので、軽くお昼にしておくことにした。バス停の手前に雰囲気のよさそうなお店が何軒があり、適当なところに入ってみる。そう暑くもなく軽く汗ばむくらいの陽気で、少しはいい運動になったかもな…。山かけご飯の素朴な味わいに満足したところでバスの時刻を確かめると、GW期間中に限って長谷寺のすぐ近くまで直行する臨時のバスが出ていることが分かった。バス停に戻ると行きに乗ってきた路線バスとは違った観光バスタイプの車が待機しており、随時ピストン輸送してくれるようだ。電車の待ち時間も気にしなくていいし、これは好都合だった。先程の山道を降りてきて国道を行くものと思ったら、その手前から室生ダムのすぐ近くを経由し、国道を避けるような迂回ルートを使っていた。そうこうして長谷寺の手前、与喜浦というところで下車、バスはここで折り返しとなる。ここから長谷寺まで少し距離はあるものの、かなり時間短縮になったように思う。さてと、人の流れに添って歩いて行くことにしよう。
先程の山寺とはまた雰囲気が違い、長谷寺に通じる道は土産物店などでとても賑やかだった。人を掻き分けるようにして先へと進む。長谷寺といえばやはり登廊の風景で有名なところだが、今日は一段と人が多いようだ。この場所もCMやドラマで幾度となく目にしてきたが、1度は訪れてみたいと考え続けていた場所のひとつだった。ちょうどこの季節はぼたんの時期にあたり、境内のあちこちに咲く可憐な花々は来る人の目を和ませてくれていた。ゆっくりと登廊を進み、程なくして境内の一番上にある本堂へ到達する。人の列ができていたので何の気なしに覗いてみたら、鐘楼堂の梵鐘が東日本大震災の被災者のための「慰霊の鐘」として一般参拝者にも開放されているとのことだった。そのまま本堂の中へと進み十一面観音との対面を果たす。いまここにいる自分は一体何なんだろう?などと柄にもないことを考えてしまったが、こうしてご本尊さまを拝見しているだけで心が震えてくる思いだった。そして本堂から外に出て舞台の方へ向かうと視界が開け、木々に囲まれた境内の様子が目前に広がる。ほんの思いつきだったが、今日も来てよかったなと思う瞬間だった。
最後に五重塔をみて、とりあえずひと段落したところで長谷寺を後にした。先程通ってきた参道を戻り長谷寺駅へと向かう。当初、予定していたスケジュールはここまでだったが、思いのほか効率よくまわれてしまったので、欲張ってもう1ヶ所足を延ばしてみるにする。桜井駅で近鉄を降りると、タイミングよく桜井線の電車がホームで出発を待っているところだったのですかさず飛び乗る。1時間に1、2本しか走ってないのに調子がいいときはこんなものだったりするのだが、1駅乗って次で下車、ここから大神神社へ向かうことにした。この三輪駅は無人駅なので列車の先頭まで行って切符を運転手さんに渡してから降りる。逆方向からやって来た電車と上下交換するのを見届け、こじんまりとした小駅をあとにした。
大神神社は駅の改札とは反対側の方に位置していた。駅前のロータリーから右に入る細い路地を抜け、もう一度右に曲がって踏み切りを渡ると大きな木々が並ぶ参道となる。ここ大神神社は日本最古の神社とも言われ、その背後にある三輪山をご神体としている。うまく表現できないが、この場所に立っているだけで何か大きな気のようなものを感じる。文字通りパワースポットというべきだろうか?あまりこういったところは、"はしご"しない方がいいという人もいるが、折角なので…という気持ちがついついはたらいてしまう。(苦笑)二の鳥居を抜け拝殿へと向かい、まずはお参りしておくことにした。最後にちょっと気分を変えるのもいいかな?と思い、寄り道してみることに、、、というか、三輪そうめんの文字が目に入ったのが本当の理由だったのだが、そうめんと柿の葉寿司で腹ごしらえする。そんなこんなで結構時間を使ったつもりではいたが、次の電車までまだ余裕があったので最後の最後に大鳥居のところまで回り道してみた。見てまわる順番が違うかもしれないが、その大きさにはあらためて感心するばかりだった。
2日目
昨晩は、JRの畝傍駅で締めくくったが、今日は近鉄の大和八木駅前からスタートする。これから乗ろうとしているのは、通称十津川特急と呼ばれており、いわゆる高速バスなどを除いて日本一長い距離を行く路線バスだという。ここ奈良県の八木駅前と和歌山県南部の新宮駅の間、距離にしておよそ168キロを6時間半をかけて結んでいる。国道168号に沿うようにして紀伊半島を南下するこの路線は、山間の村としても全国的に名の通った十津川村や熊野本宮大社などを経由しており、旅番組などでも紹介されることがあってか、それなりに有名だったりする。運行しているのは奈良交通で、1日3往復設定されている。さすがにこの距離を行くだけあって途中3回ほど休憩が入るのだが、一人の運転手さんが全行程を担当する。ちなみに3回のうちの1回は谷瀬の吊り橋の見学を兼ねて20分も停車することになっている。全線乗り通すと料金はなんと5250円、整理券番号は3桁を越えることになり、運賃表は4ページにも渡っていた。
関空行きのリムジンバスを見送り、目的のバスがやって来るのを待つ。といっても、すぐ目の前に止まってるうちの1台がそうだとは思うのだが、、、予想通りそのバスがロータリーを1周してこちらに向かってきた。見た目はごくごく普通の路線バスで、確かに行先は新宮駅となっているものの、ぱっと見、これからとんでもない距離を行くという雰囲気はまったく感じられない。早速乗り込み、折角なので正面が見渡せる席を陣取ることにした。取り立てて何かあるということもなくバスは静かに八木駅前を出発、しばらくは国道24号沿いに進み、高田市、御所といった郊外の街並みが続く。一応特急という肩書きがついているのだが、律儀にバス停をひとつひとつトレースしていく。1時間強で五條バスセンターに到着、ここで1回目の休憩となった。
五條バスセンターは大きなショッピングセンターに隣接しており、思いのほか多くの人がここから乗り込んできた。再出発後、五条駅に寄ったあとバスはすぐに左折、吉野川を渡り、いよいよ国道168号線へと分け入っていく。徐々に感じるアップダウンが、これからの長い道のりを予感させる。まだこの辺りはしっかりとした道が続いていたが、遠くの山々が徐々に迫ってくる。しばらくすると、廃線跡らしき高架が視界に入ってきた。拙い記憶をたどり、そこが建設途中で日の目を見なかった旧五新線跡ではないかと推測してみる。確か白棚線のようにバス専用道路として使われてたはずだが、立派な橋脚やトンネルがこんな形で残っているのはどこか異様な感じさえした。やがてバスは山道へと差し掛かり、離合困難な箇所がところどころ現れるようになったきた。さすがバスの運転手さんも慣れたもので、手際よく対向車とのすれ違いをこなしていく。それだけでなく、後続車が数珠繋ぎにならないよう先を譲るなど、都会とはまた違った気配りも目にする。ちょっと失礼かもしれないが、クラクションを使ってみたり手をあげて合図したりと、運転する姿を見てるだけでも飽きない。
やがてバスは十津川村へと差し掛かる。ひとことに十津川村といっても、奈良県の1/5を占める"日本一広い村"だけあって、どこが中心なのかなどよそ者にとっては定かではない。急峻な山々に囲まれたところを国道168号に沿うように十津川が流れており、ところどころダムでせき止められ貯水池として利用されている。きっと紅葉の時期も素晴らしい景色が楽しめにちがいない。五條を出てからおよそ2時間、バスは2度目の休憩となった。ちょっとけ国道を逸れ、上野地の集落に入るとバス専用の駐車スペースがあり、ここで約20分間停車することになる。この場所の近くには谷瀬の吊り橋があり、ちょっとした観光地になっている。この橋は鉄線の吊り橋としては日本一の長さを誇り、距離にして300メートルほど、幅1メートルにも満たない板が渡されている。実際に生活道路として架けられた橋で、見るからに揺れそうだが、当然人数制限もあり今日のようにGWで人が多いときは一方通行に規制されるとのことだ。歩いても20分あれば往復できそうだが、警備員の方も今日は戻って来れないことを繰り返し告知していた。そんなわけで数分程度の見学だったが、ちょうどお昼時ということもあり、車内で軽く昼食を済ませることにした。
時計を見ると12時半頃、バスは上野地を出発した。国道168号に戻り貯水池を右手に見ながらさらに南下していく。狭いところばかりかと思えば意外とそうでもなく、こんな山奥にしては場違いなほど立派なトンネルや橋も建設されいる。大規模改良とみるか、無駄な土木工事とみるか判断は分かれるところかもしれない。このバスは、生活路線であると同時に観光路線の色合いも強く、時折沿線案内が入るのも興味深いところだ。意外と知られてないが、十津川村の歴史は古く独自の歩みを刻んできたことなどが紹介される。自分も単なる山奥の辺鄙なところくらいにしか思ってなかったが、知らないことは多いものだ。やがて十津川村役場を通過、今度は左手に貯水池が見えてきた。十津川高校の紹介があったあと、バスは十津川温泉へ到着、ここで3回目の休憩となった。とりあえずバスを離れて周囲を見渡してみるか、、、十津川温泉のバス停はとても静かなところにあり、のんびり時間が流れてる穏やかな場所だった。
定刻より数分遅れてバスは十津川温泉を出発した。ここで一旦国道168号を離れ、ホテルなど温泉施設がある方へと向かう。こちらはさらに道幅が狭く、対向車が途切れるのを待っていた。(後日談:あとで地図をみてわかったのですが、ここは知る人ぞ知る酷道425号の入口でした。)結局、乗り降りする人はなく同じ道を引き返して、再び国道168号を進むことになった。ところで、今日はこのまま"乗り"に徹して新宮まで乗り通すでもよかったが、折角なので熊野本宮大社で途中下車しようと考えている。ちなみに全線乗り通したときの料金=5250円を出すと2日間有効な途中下車できる切符が買えるので、今回はそれを買ってあった。といっても、スケジュールは1日しかとってないので、日に3本しかないバスだと2回までしか途中下車できないのだが…。さぁ、そろそろ十津川村ともお別れ、もう間もなく県境というところで、道路は恐ろしく高規格なものへと変貌する。国道168号のままだけど、こりゃぁまるで高速道路のようだ。
和歌山県へ入ると川の名前も熊野川へと変わる。本宮大社前のバス停で途中下車、5時間ほどお付き合いしたバスとはここでお別れとなった。一昨年紀伊半島をまわったときは熊野那智大社に行ってみたが、今回はあらためて熊野本宮大社へ寄ってみることにしている。ここ熊野本宮大社は全国にある熊野神社の総本宮であり、熊野信仰の象徴的な場所だともいえる。しかし、こうして実際に来てみると、どこか観光地化された感じがして熊野古道のイメージとは少し違った印象を受ける。その理由はあとになって分かるのだが、とりあえずお参りしておくことにしよう。最初の鳥居をくぐり杉木立の石段を進む。ところどころに日本サッカー協会のシンボルマークにもなってる八咫烏の姿が見られる。そして神門の先が上四社となり第一殿から第四殿までそれぞれの神様が祀られている。ひと通りお参りを済ませ拝殿をあとにした。昨日の長谷寺でもそうだったが、ここ熊野本宮大社でも東日本大震災のお見舞いのための祈りが捧げられているとのことだった。このあとで、社殿から少し離れた場所に見えた大きな鳥居の方にも行ってみることにした。元々熊野本宮大社は大斎原と呼ばれる熊野川の中州に存在していた。それが明治の大水害ですべて流され、いまの場所に遷されたという。いまではこの鳥居と大斎原がひっそりと残されている。こちらの方まで足を延ばしてみたが、こんもりとした森は確かに神域としての雰囲気があったように思う。
乗り継ぎのバスを待つ時間を利用して熊野川沿いを歩いたあと、世界遺産熊野本宮館の中をひと通り見学してみた。気がつけば、日は傾きかけ徐々に西日が強くなってきている。ここから新宮駅までは熊野交通のバスがそれなりの頻度で出ているのだが、例の切符を使うためには奈良交通のバスを待たなければならない。1本落としたおかげで結果的に1時間半の滞在時間ができたので、これでちょうどよかったようだ。そして定刻からやや遅れてやってきたバスに乗り込む。バスは再度国道168号を離れ、狭い道を進み、湯の峰温泉、川湯温泉といった雰囲気のあるところを経由しいく。こんなところで投宿するのもありかな?などと考えてるうちに再び国道168号へ戻ってきた。さらに熊野川沿いをしばらく進み、一昨年通った国道169号と分岐する橋のあたりまで来ると見覚えのある風景となる。そして熊野本宮大社を出発してから1時間半弱でバスは終点の新宮駅へと到着した。熊野本宮大社で途中下車したものの、振り返ればほぼ一日がかりの本当に長い道のりだった。
3日目
3日目の今日は、午前中新宮市内にとどまって、午後には帰京するつもりでいる。まず最初に神倉神社へ行ってみることにする。神倉神社は市街地の北西部にあり、神倉山の断崖にへばりつくように鎮座している。ご神体でもあるゴトビキ岩(琴引岩)は市内からも見ることができる。落ち着いた街並みを抜け拝殿へ通じる入口へとやって来た。参道麓の赤い鳥居の先にはかなり急峻な石段が続いており、先の方の様子がよく分からない。どうやら腹を括ってこの断崖を登っていかなければならないようだ。
意を決して登り出したのはいいが、更に半端なくきつくなってきた。これは足を滑らしたら大怪我をするぞ、、、それでもたまにすれ違う人と挨拶を交わしたり、とりあえず頑張るしかない!と自分に言い聞かせ上を目指していた。ようやく石段を登り切ると随分と高いところまで来ていた。もう少し先まで進むと、ゴトビキ岩と拝殿の赤い建物が見えてくる。そして"下界"に目を移すと、新宮市内の様子が手に取るように分かった。さすがに苦労してきただけあって、この上ない達成感があった。上がった息が収まるのをしばらく待ち、麓まで戻ることにした。当たり前だが、帰りは帰りであの危険な石段を降りていかなければならない。多少不恰好だったかもしれないが、別に他人の目があるわけでのないので足を滑らさないように慎重に一歩一歩降りていくことにした。
思いのほか大仕事になってしまったが、これで神倉神社を後にして熊野速玉大社へ向かうことにする。ここら界隈は寺町と呼ばれ、風情ある町並みが続いている。国道から少し入った裏通りには、こじんまりとしたお寺や少し怪しげな飲み屋が並び、キョロキョロしながら歩いていくとやがて熊野速玉大社へと到着する。あらためて参道の正面にある鳥居のところへ向かう。熊野詣の締めくくりとして熊野速玉大社を参拝しておくことにした。
熊野速玉大社は熊野三山のひとつで、世界遺産にも指定されている。一昨年の熊野那智大社、そして昨日の熊野本宮大社ときて、今日は締めくくりに熊野速玉大社へお参りすることにしていた。熊野速玉大社は熊野川の河口に近い場所にあり、本宮大社からここまでは川の参詣道と言われることもある。名前の由来は速玉之男神にあるとのことだが、もともと神倉山にあった元宮に対しこちらの社殿を新宮と呼んだところから土地の名前にもなったようだ。梛の大樹を右に見ながら先へ進むと、鮮やかな赤い色の拝殿へとたどり着く。
お参りを済ませ、入口にある鳥居のところまで参道を戻ってきた。記念写真をとってる外人さんは、確か昨日上湯温泉でバスを降りていった方のように思う。う~ん、なかなか通ですな…。(苦笑)さてと、、、これで予定してたところはまわったので、あとは駅に戻ることにする。まだ時間的に余裕があったので少しだけ遠回りしてみるか。どうしても予定を詰め込み過ぎる傾向にあるので、たまには時間をもてあそぶくらいでちょうどいいのかもしれない。あてもなくさまよう感じになってしまったが、新宮城跡に寄ってみたあとで阿須賀神社まで足を延ばすことにした。少々歩き疲れたこともあり、徐福公園でひと息ついているとちょうど正午となった。そうだ、お昼は帰りの車中に持ち込むことにするか。
折角の連休ではあったが、明日も出社の予定が入ってしまったので今日はこのまままっすぐ帰ることにしている。午後1時に新宮を出発すれば夕方6時には新横浜までたどり着けるので、移動もそんなに苦痛ではないはずだ。こみ具合が心配だったので指定も取ってあるし、あとはいい意味で惰性で行くことにしよう。定刻でやってきた南紀6号に乗り込み、あとは一気に名古屋へ向かう。多客期の対応として指定車は増結されていたが、自由席は1両だけ、、、新宮駅で既に席は埋まった様子だったが、ちょっと気が効かないようにも思う。一昨日やって来たのがウソのようだが、あっけなく名古屋へ到着、新幹線の乗り継ぎを少し短めにみていたせいか、少々慌しい乗り換えとなった。ここのところ落ち着かない日々が続いていたが、残念ながらこの状態はまだしばらく続きそうである。まぁそれでも、少しは気分転換になっただろうか?帰りののぞみでも、無意識のうちにそんなことを考えていた。