■旅日誌
[2008/5] 週末は山梨にいます
(記:2008/8/30 改:2022/1/3)
(記:2008/8/30 改:2022/1/3)
山梨デスティネーションキャンペーンの一環として、小海線にJR東日本のトロッコ列車=風っこ号がやってくるとのことで、ダメ元で指定を申し込んでみたところあっさり取れてしまいました。また、往復の足としていろどり号が利用できるようにダイヤが組まれており、物珍しさも手伝って往路は千葉からそのいろどり編成で出発することにしました。
※下線部をクリックすると写真が表示されます
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1日目
前振りの通り、あまり期待をかけていないときに限って意外とあっさりとチケットが取れてしまうものである。JR東日本のびゅうコースター風っこはイベント列車として各地に"出張"しており、今回初めて小海線へやってくることもあって話題になっていたようだ。また線形(=勾配)の関係からDEに引っ張られるという方式が、いわゆるその筋の方々(?)の興味を引くようである。あまり人のことは言えないが、なんとなく風っこに乗ってみたかったのと、過去意外と接点の少なかった小海線という組み合わせから今回の小紀行を思い立った次第である。
今日のスタータのいろどり編成は普段団体専用列車として使われており、今回のように個人客でも利用できるように開放されるのは珍しいことらしい。というわけで、どうせなら始発駅から乗ってやろう…と意気込んで早朝千葉までやってくるハメになってしまったが、冷静になって新宿あたりで捕まえれば時間的にももっと楽だったかもしれない。おかげですこぶる(?)早起きをしてしまったが、横須賀線から総武線を乗り継いで千葉駅についたときは、もうひと仕事した気分だった。7時半過ぎに千葉にいるというのもかなり無理してるかもしれない。(苦笑)
朝食用に駅弁を買ったあと、ホームでいろどり山梨八ヶ岳号がやってくるのを待つ。その趣味の方々が見守る中、つり目の顔をした列車が朝日に照らされて入線してきた。いろどり編成は全車グリーン席扱いで、グループ用のボックス席を中心に両端の車両は座席となっている。中ほどにはサロンカーもあって小奇麗なイベント列車として仕上がっている。座席車のアコモは明るい色合いので1+2配列のシートはピッチも十分広く、種車の面影はどこにも残っていない。きらきらうえつもそうだったが、使い古された中古車が見事に改造されている。今日のいろどり山梨八ヶ岳号は快速列車扱いで特急料金は必要とせず普通車のグリーン指定券だけで利用できるので、かなり乗り得感がある。そのかわりに停車駅も多く、後続列車の待ち合わせも頻繁に行われ、所要時間としてはやや長めのように感じる。まぁ、乗り心地がいいので逆にゆっくりと時間をかけてもらうのも悪くはないのかもしれない。ただ残念だったのは立派なサロンカーがありながら車内販売もなく喫煙ルームも閉鎖されていたのは中途半端のだったように思える。
総武線内は快速列車と同様に各駅に停車し、普段とは違う列車を目の前に「なんだろこれ?」といった感じでホームにいた人の視線を集めていた。両国で一旦緩行線に入り秋葉原に停車したあとお茶の水の先で再び快速列車の路線へと戻る。トロトロ走りながら新宿へ到着すると趣味的な雰囲気の方が数名降りていった。その後もあまりスピードは上がらず高架工事区間を抜けるとようやく山間の風景と変わってきた。臨時列車の宿命ではあるが、ところどころで運転停車を繰り返しながらいろどり山梨八ヶ岳号は初夏の山梨を駆け抜けて行った。
この電車の終点、小淵沢駅に到着して先頭のモニター画面を見学したりしているうちにいろどり編成は引き上げて行ってしまった。後を追うようにしてホリデー快速などがやってくると駅は観光客でますます賑やかになってきた。元気甲斐弁当が目にとまり、ついつい購入してしまう。とりあえずそこらでお昼にして、あらためて小海線のホームに戻ると、既に風っこは入線していた。何かのキャンペーンだろうか、着ぐるみ人形が愛想を振りまきながら記念撮影に応じていた。
指定された席につき、しばらく出発を待つ。列車は満席の盛況ぶりである。12時を少し回ったあと、DEに引っ張られながら列車は出発となった。小淵沢を出るとすぐに大きなカーブに差し掛かり、遠く八ヶ岳を眺めながら列車はするりするりと勾配を進んでいく。高原の風が吹きぬけ、何とも心地よい気分である。最高だね、この列車にして正解だったね…隣席から会話がモレ聞こえてくる。沿線のほとんどが緑に囲まれ、まさに自然の中にいることが実感できた。
清里に停車したあと、日本最高地点を通過して列車は野辺山へ向けて出発する。十分にゆっくりと走っていたが、所要時間45分ちょっとはあっという間に過ぎてしまい、列車は野辺山へ到着した。野辺山駅で折り返していく風っこを見ながら後続の列車を待つと、超満員の列車が到着した。いやぁこれはまいったな…と思ったら、ほとんどの人がこの駅で降りていったようだった。どうにか空いてる席を見つけ着席はできたが、この先も空き席がない程度の込みようだった。
ハイブリッド車両はJR東日本が開発した次世代車両である。営業車としては世界初の導入で、ここ小海線で実運用に入っている。主駆動は電車と同じモータで電源に蓄電池を積んでおり、ディーゼルエンジンが発電機を駆動して電源供給を行う。ガソリンとディーゼルの違いはあるが、自動車のハイブリッドカーと似たような仕組みである。車内にもそんな説明書きがあった。走り出しは電車と同じモータ音がするのだが、しばらくするとディーゼルエンジンが動き出す。そのディーゼルエンジンも発電のためだけに動くので、列車の速さや坂道でパワーを必要とする場面など関係なく一定の負荷で回っていてるようだ。山間の農村風景に目をやりながらハイテク列車に揺られている。何とも不思議な感じだ。(後日談:その後、小海線を再訪する機会がありました。そのときの旅日誌はこちらをご覧ください。)
佐久平で途中下車して西に傾きかけた日差しを受けながらハイブリッド車を見送る。佐久平駅は長野新幹線と小海線の接続駅として新しくできた駅である。小海線のホームはというと、取って付けたような1線1面の高架の駅で、長い通路を歩いて新幹線の駅舎へと向かわなければならない。そう利用客も多いわけではないので、すべてのあさまが停車するわけではないのだが、長野行きの新幹線がちょうどタイミングよくやってくるのでそいつを捕まえることにする。
長野駅で新幹線を降りて今日はこれから善光寺へ向かうことにしている。いつだったか長野に一泊したことがあったが、観光するわけでもなく通過しただけだったので、少しあわただしいが足を延ばすことにする。バスで行くのが一番手っ取り早そうだが、長電に乗り換えて行くことにしよう。地下ホームへ降りると元東急の電車と元小田急の特急が顔を合わせて停まっていた。本当にここが長野なのか…という気がしてくる。
先にゆけむり号が出発し、その後こちらの普通列車が出発となる。わずかばかりだが何となくこの電車に乗りたくなったので善光寺下までの区間だったが利用してみることにしていた。地下ホームから地上に上がり、とぼとぼと歩いていくことにしよう。善光寺下というには名ばかりで、ここからだと結構な距離があるようである。
善光寺へ到着し、早速お参りを済ませることにしよう。山門を通り本堂の中に入る。厳粛として厳かな空気が漂い、身が引き締まる思いがする。折角なのでお戒壇巡りもしておくことにしよう。向かって右側に入口があり、真っ暗な中、ご本尊様の真下の回廊を一巡りしてくる。右手腰くらいの位置に手をかざしていると錠前に触れることができる。これが極楽につながる錠前らしいのだが、詳しいことはよく分かってなかった。本当に真っ暗というのはいくら目が慣れてきても何も見えないということで、得体の知れない恐怖感のようなものを感じる。正直いってここでこんな気分を味わうとは思わなかったが、錠前へ触れて無事に外へ出て来れたときは妙にホッとした気分になった。
善光寺を後にして参道を下っていく。おやきとお茶で何となくおやつにしながら歩いていく。牛に引かれて善光寺参り…というにはちょっと状況が違うが、どことなくのんびりした雰囲気で今日、善光寺参りができたのは本当によかったと思う。日本人なら一度は行っておくべき場所といってもいいかもしれない。さてと、今夜も早く温泉でひと休みしたくなってきた。
2日目
今回は帰りのことまであまり考えてなかったのだが、土日きっぷの権利が使える範囲で適当に遠回りしてみようと思う。長野駅から信越線で北上し直江津方面へ抜ける。北陸新幹線が開通するとこのルートももっと寂れてしまうかもしれないいが、車窓の景色が素晴らしい場所なので何かもったいない気がする。そういえば、かつて特急だった車両が普通列車として使われているのも少し得した気分になる。土日きっぷの指定券が使える回数が余っていたので妙高の指定でひとつ消化する。予想通りとはいえ、車内はガラガラだった。
いまどき珍しいスイッチバックがあったり、妙高山の景色が素晴らしかったりと、この路線の車窓は乗ってる者を飽きさせない。乗り得ついでに新井で途中下車して後続の快速くびき野に乗り換える。こちらも元特急として準備された車両で、普通列車にしておくにしてはあまりにももったいない。でも、普通列車にしたお陰で利用率が高いという。少々慌しいが直江津ではくたかへ乗り換えほくほく線で越後湯沢へ向かう。
越後湯沢からは上越線の普通列車で上越国境越えへと向かう。この区間をゆく数少ない普通列車で水上へ抜けることにしている。ボックス席を占有し、ボーっとしながら過ごすことになった。長いトンネルを抜け、湯檜曽ループを走り抜け列車は終着水上へ到着した。水上駅の周辺を少し散策し利根川沿いの遊歩道でしばらく時間をつぶす。水上駅へはEL&SL奥利根で来たばかりなので、またこんなに早く来るとは思いもよらなかった。今日はあまり凝ったことは考えてなかったのだが、上毛高原から新幹線で帰京することにした。ひとまず水上からバスで上毛高原駅へ向かう。温泉街を抜け川沿いの国道をしばらく進みSLが鎮座してる駅ロータリーへと出てきた。特にやることもないので新幹線のホームに上がり列車を待つことにした。