■旅日誌
[2010/8] 空中散歩、山中遊歩
(記:2010/9/23 改:2015/11/1)
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夏休み返上どころか土日の休みもままならなくなってきたので、思い切って週末完全オフとしました。本当なら無理した分、体を休めた方がいいような気もするのですが、気分的に解放されたいという欲求の方が強く、遠出することにしました。新線開業に伴う乗りつぶしのために、日帰りで新しいスカイライナーに乗ることがメインだったのですが、結果的にとんでもない大回りになってしまいました。ちなみに翌日は勢い余って、前日とはまったく関係のない奥多摩へトレッキングしに行くことになりました。
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 1日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
ワイドビューふじかわ、セントレア、ANA3202、成田スカイアクセス/スカイライナー
7月に新線が開業したので、いつものように乗りつぶしのタイミングを見計らっていた。今回開業した路線には成田スカイアクセスという愛称が付けられ、従来の北総線を延長して成田空港に直結するようになり、これまで京成線を走っていたスカイライナーはこちらのルートに移行、新型車両へ一新し最高時速は160キロに引き上げられ、都心(日暮里)からの所要時間は飛躍的に向上した。一方、迎え撃つ形になったJRの成田エクスプレスも新型車両を投入したり、既存の路線網を活かして方々から乗り入れたりと利便性を前面に押し出す作戦に出ている。いずれにせよ、成田空港へのアクセスの悪さは開港当初から言われ続けたことなので、とにかく少しでもいい方向に向かって欲しいものだ。
スーパーあずさ
成田空港ならそのうち利用する機会もあるだろうとは思っていたのだが、未乗路線がそこに残っているというのがどうも落ち着かない。であれば片付けに行くか…と考えてるうちに、きっとそれを言い訳に飛行機で遠くへ行きたくなってしまうので、ここはひと呼吸おいて妥協点のようなものを考えることにした。そうか、空港に行くからそこから外へ出たくなるので、じゃぁ逆に成田へ降りてくればいいじゃないか、、、と妙な理屈を持ち出し、出てきた答えが今回のセントレアから成田空港へ向かうルートだった。以前もF50の退役直前に逆向きを利用したことがあったが、セントレアから成田へ向かう便が午後に設定されてるのは認識済み、往路、新幹線を使えば余裕で日帰りは可能となる。さらには、その新幹線というのも味気ないので、もういちど時刻表を見返してみたところ身延線で甲府から静岡へ抜けるルートでつながることが判明。とそんなわけで、またまた3次元的な大回りを決行することになった。
ワイドビューふじかわ
というわけで、朝一のスーパーあずさ1号で新宿から甲府へ向かう。前々から話には聞いていたがこいつの混雑振りはかなりひどく、自由席は通勤電車なみの混雑だった。1時間半ほどして甲府に到着、次に乗るワイドビューふじかわを待つ。こちらは乗り継ぎ時間がわずかだったが、自由席はほぼすべての座席が埋まる程度の混み具合だった。ハイカラな愛称が付いてる割に停車駅も多く、特急といっても名ばかりのような印象を受ける。そもそも3両編成でしかないので、優等列車として相応しいかは議論の分かれるところだが、実際には稼働率も悪くなく地元の足としては貢献してるようにも見えた。まぁ、そんなことは別にどうでもいいのだが…。列車は大きな景色をバックに富士川沿いを、のんびりと走っていく。やがて東海道線の富士駅へ出てくると進行方向が逆になり、列車は太平洋を見ながら静岡へ向けて快走していく。
セントレア
静岡駅には定刻で到着、わずか数分の乗り継ぎで下りのひかり号へ乗り換える。いつもは山側の席に座るのだが、空いてる席が海側にしかなかったので3列席に着席する。強い日差しを受けながら、過ぎ行く車窓に目を向ける。浜松に停車したあとはノンストップで名古屋へ向かうのだが、豊橋を過ぎたあたりで遠くに海が見えたり、偶然トヨタ専用貨物列車を追い越したりと、ちょっと新鮮な感覚を覚える。そうこうしてるうちにあっという間に名古屋へ到着、ここで新幹線を見送る。
ANA・NH3202便・成田行き
中部国際空港セントレア)には、やはり名鉄で行くのが一番確実な方法だろう。JRの改札を抜け、名鉄の乗り場のある方へ移動する。名古屋駅には特に用事があるわけでもないので素通り、ちょうどいまミュースカイが出るところだったが、少し時間があるので見送ることにした。その後もいろんな行き先の列車が次から次へと入って来たが、相変わらず名鉄のダイヤは複雑怪奇ですごいものだと感心する。何本か見送ったあと、赤い車体のセントレア行きの特急がやって来た。今日も外はかなり暑いんだろうな…などと考えながら車窓を眺めてるうちに列車は常滑を後にし、連絡橋に差し掛かると海の向こうにセントレアの建物が見えてきた。
NH3202便から見た渥美半島
成田行きの便の出発まで小1時間程あったのでカードラウンジを寄ってみることにした。このラウンジはビールサーバが無料で利用できるようで、ここは遠慮なく暑気払いさせていただくことにした。搭乗時間が迫り、チェックを受けてセキュリティ内に入る。これから乗る成田行きは毎度おなじみのボンバルディア製ダッシュエイト(Q400)、久々のプロペラ機である。ANA便を名乗っているものの、地元のエアーセントラルの機材と乗務員で運行されている。搭乗機まではバスで移動、タラップを上って機内へと乗り込む。先程チラッと見えたが、エアーセントラルとA・net両方のロゴが入っていたので、この機材も合併後の新会社に引継がれることになるものと思われる。ざっと見渡した感じで空席は見当たらず、恐らく乗ってる人のほとんどが成田からの乗り継ぎ客だと想像できる。右、左の順番にターボプロップエンジンが始動し、機体が小刻みに震え出す。グランドスタッフのお見送りを受け、プロペラ機特有のゴーっという音を唸らせながらタキシング、やがて滑走路に進入しスタート地点につくと一気に加速、ふわっと浮かぶと眼下には三河湾の景色がよく見えた。渥美半島を過ぎてやや左に旋回、あれがトヨタのテストコースか…といった具合にプロペラ機なので高度も低く地上の様子がよく見える。
NH3202便から見た房総半島・館山
その後、浜名湖を左手にみながら遠州灘の上空を過ぎていく。御前崎沖で再び左旋回して、駿河湾から伊豆半島に差し掛かると、機長から遠くに富士山が見えるとのアナウンスが入った。やがて大島の上空を通過し房総半島が見えてくるとそろそろ着陸へ向けて高度を下げていく。成田空港には北側からのアプローチとなり、B滑走路へランディング。成田名物のくねくね誘導路をタキシングして、プロペラ機用の到着スポットへと導かれる。降機後、バスで移動し到着ロビーへと向かった。目安としておいたスカイライナーまで時間もあるし、折角なので行き交う飛行機でも眺めておくことにするか…。
スカイライナー
常識では考えられないほどえらい遠回りをしたが、いよいよこれから本当の目的だったスカイライナーへと向かう。窓口で切符を購入、改札を抜け薄暗いホームへ降りて、折り返しの準備が終わるのを待つ。やがて出発時間が迫り、新しいスカイライナーに乗り込む。ぱっと見の印象としては、JRの成田エクスプレスの充実した設備に比べて、実用本位のシンプルなつくりであることがうかがえる。着席するとすぐに列車は成田空港駅を出発、お隣りの第二ターミナル駅でさらに人を乗せると、何となくそれなりに席は埋まっていた。地上に出てきたあとしばらくJRと併走し、分岐ポイントを過ぎるといよいよ新線区間へと入って行く。あっという間に成田湯川駅を通過、乗ってると実感はないが、ここらが160キロ運転区間のはずだ。車内モニターには運転席から見た景色が写し出されていて、高架区間を走ってる様子がよく分かる。気がつけば印旛日本医大駅へ差し掛かり、これで無事に未乗区間を制覇、、、江戸川を渡り建設中のスカイツリーが見えてくると、目的地の日暮里は近い。ここまでの所要時間はわずか30分強、確かに成田が近くなったような気がした。
スカイライナー
 2日目
ルート概略
【寄ったところ、乗ったもの】※詳細はこちら
お座敷みたけ清流号、奥多摩むかしみち
昨日で話は一旦終わるのだが、ふとある列車の照会をかけてみたところ、空きがあったので衝動的に切符を購入。そんなわけで2日続けてお出掛けすることになった。といっても昨日とはまったく趣が違い、なぜかお座敷列車に乗って奥多摩で山歩きをしようというものである。お座敷みたけ清流号と名付けられた列車が、川崎駅を起点に、南武線と青梅線を経由して奥多摩まで直行する。確か、その逆方向の列車に乗ったことがあったが、今回はお座敷列車で終始まったりして過ごすことにしている。10時過ぎに川崎駅を出発、使われるのは華編成で、ここからお座敷列車に乗るのは甲府に行ったとき以来2度目のこととなる。
お座敷みたけ清流号
通常ダイヤの合間を縫っていくので、列車は非常にゆったりとした速度で走っていた。思いのほか車内は空いていたが、珍しい列車を目の前に、駅で電車を待つ人の反応を見るのも楽しい。南武線の終点である立川駅のホームに入り、通常ならここで折り返すところを列車はさらに先へと進む。中央線の上を立体交差し青梅線に合流するまでの区間は、普段旅客列車は入らない渡り線を通って行く。青梅線に入っても、しばらくは通勤通学圏内なので沿線は住宅街の様相だっがた、青梅を過ぎたあたりから車窓の雰囲気はガラッと変わる。多摩川に沿うよう敷かれた路線は左右に振られ、線形にあわせて相変わらずのんびりとしたペースは続いていた。御嶽駅で上り電車と交換、さらに山深いところを進む。ここが東京都だというのがまるでウソのようだ。やがて、列車は終着奥多摩へとやって来た。
お座敷みたけ清流号・御嶽駅
今日はこれから奥多摩むかしみちというところを歩いてみることにしている。氷川の集落から小河内まで国道411号と寄らず付かずで距離にして9キロほど、3、4時間くらいが目安らしい。初心者向けのハイキングコースとして紹介されることもあり、要所での案内もしっかりしており道に迷うこともないという。奥多摩駅を後にして、早速むかしみちの入り口を探す。大きな看板でこの先の様子を確認し歩き出すと、いきなりの登り坂だったが、ダム建設時の資材運びに使った路線の跡が生々しく残っていたり、大きな橋脚跡がそのまま残っていたりと、思わぬものを目にする。険しい道ばかりかというとそうでもなく、生活感のある道路だったり、渓谷沿いの山道だったりと、ここが東京都下だというのは信じられない。今年の夏は記録的な猛暑だったが、今日も気温がぐんぐん上がり、山間なので日蔭の木立はまだしも、歩いてるうちにダラダラと汗をかいていた。ある程度のペースで歩き続け、気がつけば本格的なトレッキングとなってしまったが、最後にダムが見えてくるとゴールは近い、、、と思いきや実はここからが大変なところで、急な登りや崖沿いの足もとの悪い道が最後まで続いていた。ようやくの思いで終点へたどり着き、下り坂を降り切ったところで奥多摩湖へ到着、3時間ほどの山歩きが終わった。
奥多摩むかしみち 奥多摩むかしみち
小さな達成感を感じながら冷たいソバで軽く食事を済ませ、これが東京の水がめ奥多摩湖かぁ~なんて思いながらダム湖を見学、展望台から眼下を覗き込むとそのスケールが実感できる。その後、帰りの足にはバスを利用し、あっという間に奥多摩駅へ戻ってきてしまった。タイミングよくホリデー快速が出る時間も近かったので1本見送り、そいつで帰ることにする。奥多摩駅始発の通勤型の電車で一気に東京まで戻ってこれるというのも少々あっけない気がしたが、昨日とはまったく違う1日となり、普段の鬱陶しさを忘れるにはいい機会になったようだ。
小河内ダム・奥多摩湖